リクエスト・企画小説
雲雀誕生日 当日
部活が終わってから、いつものように部誌を書き終えて最後に鍵を閉める。明日は連休の最終日だからという事で、一日だけ監督が休みをくれた。
柄にも無くドキドキして緊張したりして。雲雀とはもう何度か身体だって繋げているのに、どうしてこんなに――まるで初めての時みたいに、胸が高鳴ってしまうのだろう。
(ひばりのせいだ)


あんな風に切ない声を聴かせるから。あんな風に自分を求めてみせるから。


とくりと心臓が波打って、指先が震え鍵を落としてしまった。拾い上げて時計を見ると2時を過ぎた所。家に帰ってシャワーをしたら、昨日下ごしらえをしておいたおかずを作って持っていこう。父に言っておかなければ、雲雀の家に泊まってくることを。


 おかずを詰め込んだ包みは、開かれる事無くテーブルの上。ジュースもケーキも冷蔵庫に入れたままで。
我慢できないという言葉の通りに、玄関に一歩足を踏み入れた途端、嵐のような口付けが山本を襲った。
初めこそ戸惑いはしたが、山本だって昨夜からずっと焦がれていたから、雲雀の想いに応えるようシャツにきつく縋りついた。
 そうして今は、ベッドの上。
「一日一武?」
荒い息が少し治まった頃、枕に額を付けて体の熱を感じているらしい山本の背中に問いかける。
「うん、俺金なかったもんで」
「何で“一武”なの?」
「それは・・・・その」
身長170以上の二人では流石に狭いシングルベッド(そのうち雲雀はダブルかもしくはキングサイズに替えようと思っている)。抱きついてはいないものの、密着しているというのに、山本は誰かに聴こえたら大変とでもいうように雲雀に耳打ちした。
「・・・・・・・・君の脳みそってホント可愛いよね」
「んだよそれー。ばかにしてんのなー」
「してないよ。感心してるの、よく分かってるなって」


ひばり俺のこと大好きだろ?だから俺をプレゼントしたら嬉しいかなって


その当日だけではなく誕生日までの毎日一日一回自分をプレゼントというその考えが。お金の掛からない、けれど何と贅沢なプレゼントだろう。だってつまり彼は、この期間中ずっと自分のことを考えていたのだ(野球をしているときは別として)
自分の為に、考えに時間を割き、行動に時間を割いたのだ。
「嬉しいよ」
雲雀は再び山本の身体に指を這わせる。まだ熱冷めやらぬ身体は、雲雀の体温低めの指が触れ移動するたびに別の感情をじわじわと呼び覚まされるらしく、魚のように跳ねる。
「あ・・」
「だけどできれば今日は“一晩中武”がいいかな」


おかずはあらためて明日温め直して食べればいい。ケーキもジュースも一晩おいたところでどうという事は無い。


だから今夜は。


君だけが僕の誕生を祝って









君の全てで








おわり
雲雀誕生日2009これにて終了ですー。雲雀さん誕生日おめでとー(^^)これからも武とイチャラブでお願いします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。



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