リクエスト・企画小説
みんなで楽しくケーキでお祝いいたしましょう
  みんなでたのしくケーキでお祝いしましょう

「buon compleanno!!」
かちかちかちん、グラスを打ち鳴らした後、真っ白なテーブルクロスの上を所狭しと並んだ料理は、でかい男たちのでかい口の中に次々と消えていく。
「うお、うめぇさすがボス!!いい肉食ってんなぁ!!」
「ちょっとスクアーロ肉ばっかり食べてないで野菜も食べなさいよ!!それより武このドレッシングちょー美味しい!!今度作り方おしえてねー」
「ねえこの寿司美味いんだけどさぁ、何でこんなにちっこい訳?こんなの一口で5つくらい食えちゃうよ」
「ああっ!!俺はまだ甘エビの乗ったの食べてなかったのにっっ・・」
「へぇ珍しい。レヴィが武の作ったの食べるなんて」
「寿司は別だっっ!!」
次々空になって行く皿を眺めながら、山本はやっぱりお代わり出来るくらい沢山用意しておいて良かった、と隣で仏頂面を惜しげもなく晒している今日の主役にこっそり囁いた。


昼の2時過ぎから3時間ほどかかって二人がかりで作った料理は5人の腹の中に綺麗に納まり、残ったらどうせ皆一人身なんだし、小分けにして持たせてやろうなんていう山本の心遣いは無用だった事を思い知らされた。
自分たち2人は一応味見と称してあっちを一つまみこっちを一つまみし結構腹は満たされていたけれど、流石に舐めたようにきらりと輝いている皿を見ると、冷蔵庫に一皿分くらいとっておくべきだったかな、なんてちょっぴり後悔したりもする。
まぁそんなこんなで誕生会も残す所はケーキを食べるのみ。
「よーし、じゃケーキ持って来るけど、お前らちゃんとケーキ入る場所空けてあるんだろうな?」
ザンザスと腰掛けていたソファから立ち上がり、キッチンへと消えた山本が入り口からひょいと顔を覗かせれば

「「「「「ケーキは別ばら!!!!」」」」」

皆揃ってどこぞの女の子のようなことを言うものだから、武はもとより一人ワインを煽っていたザンザスまでが盛大に噴出してリビングの白い絨毯が紫色に染まり、この日のための花を飾っていた花瓶が、笑ってしまった自分に対する腹立ち紛れか照れ隠なのかスクアーロに向かって投げつけられ、ところがたまたま上手く避けられた物だから綺麗に窓にぶち当たり―――。


「たけし〜」
「武ぃ悪かった・・つか、俺のせいかぁ!?」
「うるさいわね、ちゃんと謝んなさい!ごめんなさいね武」
「ねぇ〜、いい加減機嫌直してケーキ食わせてよぉ」
「懐の狭い男だな。やはりお前にボスは渡せん」
キッチンのドアに鍵を掛けて閉じこもってしまった山本に向かって、口々に出てくるよう説得している様は、何処をどう見ても暗闇の中を蠢く暗殺者の集団などには見えない。
「おい、もういいだろう出て来い」
いつまでもへそを曲げられていて、折角の2人の時間がどんどんこいつらに食いつぶされるのは堪らない、とザンザスまでがドアの前に佇めば。
「・・・ケーキまで投げたら時雨金時の錆びにしてやる」
ドアの向こうから聴こえた不穏なつぶやきは耳に入らなかった振りをして。やっと少し機嫌を直して出てきた男が手にしていたケーキを取り上げルッスーリアへと手渡し切って皿に取り分けろと言い置いた後に、ザンザスは飲む物を取って来ると言いながら山本の手を掴みキッチンへと身を潜めた。


「・・・誤魔化してもダメだぜ」
「なにが」
「キスすりゃほだされるとでも思ってんだろ」
「思っちゃいねぇさ」
「じゃ、なに」
「理解してんだ」


そうして綺麗にデコレーションされたケーキがきちんと7等分され皿の上に分けられるまでの数分の間に、ザンザスの唇によって見事山本の機嫌が上向いてしまったのは言うまでも無い。



   「みんなでたのしくケーキでお祝いしましょう」・・・お題配布元:Noina Title



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あきゅろす。
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