リクエスト・企画小説
イーピン
殺し屋として日本に来て、思わぬ住み心地のよさに定住を決めて既に10年。今年は高校受験も控えていて、イーピンはバイトに勉強にと本当に忙しい日々を送っている。
10年経てば日本語なんて当然ペラペラで、リボーンなんかには、日本人より言葉遣いが綺麗なんじゃねえか?なんて、からかわれているのか褒められているのかよく分からない言葉を貰ったりする。でも、そんなイーピンにも不得意な教科が
『理科』。
科学はどちらかというと得意分野なのだが、生物学になると全くちんぷんかんぷんだ。大体にして実は昆虫や爬虫類両生類の類が苦手なイーピン、解剖実験なんてもってのほかで、蛙を持って追い駆けてくるランボをどれだけけたぐり倒したか分からない。


「そんな訳で山本さん、理科教えて下さい」


たまたま休みを貰って日本に帰省していた山本は、イタリア土産を置きに来たところでイーピンに捕まってしまった。
「ええっ、いやその・・俺もあんまり勉強は得意じゃ・・・」
しどろもどろになって断ろうとする山本の前、教科書を持ってじっと見つめるつぶらな瞳・・・。
「・・・・わかった。何とかしてみるから、ちょっと待ってな?」
渋々といった体で山本は一度実家に帰ってから、また来る事を約束してイーピンの部屋の玄関から去っていった。
はたして、山本がどのように教えてくれるのかとちょっぴりわくわくしながら、冷やし中華を用意して待っていたイーピンの前、何故か眼鏡にスーツ姿(もちろんクールビズ)の山本が現れて・・・。


「あの・・何ですかそれ」
「・・・あのな」
「はい」
「俺、勉強に関してはいっつも獄寺に教えてもらうばっかりだったのな?」
「・・はい」
「だから、手伝える事、無えの・・・」
「・・・・・」
「だから、せめて形だけ・・・でも・・・」
「やまもとさん・・」
「・・・だめ?」
てへっと笑って頭を掻いた山本さん。ですが山本さん、いくら貴方がボンゴレの中で天然タラシと陰で呼ばれていようとも、私にそれは通用しません!!
「あてにできない人は帰ってくださいっ!!」


山本さんは帰って行きました。ちょっと肩が下がっていたように見えましたが、元来余り気にするような性格ではないようですので、すぐに立ち直るでしょう。当然冷やし中華は私が一人で食べました。



おわり。
イーピンはリボーンの中で一番しっかりした子だと思います

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