リクエスト・企画小説
ハル
目の前の女の子は(もう女の子、なんて歳じゃ無いかもしれないけれど)皿にあったスフォリアテッレの最後の一口をぱくりと大きな口で食べてしまうと、まだまだ足りないとばかりにケーキのショーケースへと皿を持ったまま行ってしまった。
エスプレッソを飲みながら山本はやれやれとため息を一つ。獄寺のそっけないのにもほとほと呆れるが、喧嘩をするとこうしてケーキを食べまくるハルの癖も何年経っても相変らずだ。
「美味いか?」
「美味しいですよ〜、ほんっと、気分は最悪でも美味しいものはちゃんと美味しく感じるんですよね〜」
いっそ小気味良く口の中へ消えていくケーキ達。あれは消化されてどこにどんな風にくっつくんだろう。ちょっと興味深く見つめてしまったのに気付いたらしいハルの視線が少しだけ、下がる。
「・・・すみません、いつも。山本さんは何も関係無いのに・・・」
そう、現在まだ日本の大学生であるハルは、大学の夏休みを利用してこちらに遊びに来ているだけなのだ。さすがにマフィアの邸宅に泊まるわけには行かないからちゃんとホテルを利用していて、獄寺に市内観光を頼んでいるのだが、毎年断られている。―――というか、そのことで喧嘩している。


『俺はお前みたいなお気楽な学生じゃねえんだよ!!通訳でも雇って案内してもらえ!!』
『ひどいです〜!!それが久しぶりに会った彼女に対して言う言葉ですか!?』
『彼女だって言うんなら俺の立場を考えろ!!』
『ツナさんだって今日一日ゆっくりして良いって言ったじゃないですかっっ!!』
『ツナさんなんて馴れ馴れしい口聞くんじゃねえ!!!』
『いい加減にしなよーーっっ!!』


2人の言い合いにぶち切れた綱吉が『俺だって京子ちゃんに逢えないのにっっ!!』とぶつぶつ言うのを諌めながらハルを連れ出すのが、山本のここ何年もの夏の間の仕事みたいな物で。
「気にすんなって。俺も観光なんて久しぶりだしな」
年に一度こんな可愛い女性をエスコートできるんなら役得ってもんだろ?そう言って笑って見せればハルは
「・・・獄寺さんも少しは山本さんを見習って欲しいです」
なんて、ちょっとしょんぼり。
「あいつは意外と根は真面目なんだよ」
よしよし。慰めながら山本はさらさらの髪の感触を堪能する。なんといっても付き合っている人間が人間なので、女の子に触れる機会なんて最近は滅多に無かった。
(あー、やっぱ女の子って気持ち良いなー)
「あ・・あの、山本さん・・」
「んー?ああハル気にしないでケーキ食えよちゃんとここは俺が奢るから。な?」
「な、って・・」
どぎまぎと赤くなるハルを他所に、山本は柔らかな感触をここぞとばかりに楽しむ。友人の彼女とは言え、女性とのこんな場面を目撃されようものなら、案外と嫉妬深い恋人に何をされるかたまったものではないから。



ハルとごっきゅんはずっとあんな感じで行って欲しいです。そんで山本はいっつもフォロー役。でも楽しんでるの(笑)山本は天然タラシですから、さらっとこんなことしちゃいます(笑)

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