リクエスト・企画小説

久しぶりに帰って来た日本。もちろん遊びなんかじゃなくて、愛刀を刀鍛冶に研いでもらうついでに、日本にあるボンゴレ支部にイタリアの綱吉からの届け物をしにきたのだけれど。


「カンパーーーイ!!」
がちん!!とぶつけ合った大ジョッキから白い泡がこぼれる。
「うお、もったいねぇ」
「なにみみっちいこと言ってんのよ。あんだだって相当稼いでいるんでしょ」
「それとこれとは全然別〜」
冷たい黄金色を咽喉を鳴らして飲み込む。空っぽの胃に流し込まれたそれは踊るように胃壁を刺激してくれて、それが何とも心地良い。
「うは〜、やっぱ夏はこれだよなぁ!!」
枝豆を摘まむ満面の笑みの山本の、反らした咽喉仏がまた上下する様を見つめて、黒川花はふふと目を細めた。


山本武と黒川花は中学の頃からの友人だ。そして、友人関係であるという事の他には自分たちには何も無い。
実は中学の3年間と高校も同じく2人は3年間同じクラスだった。仲は悪くなくむしろ2人で立ち話するなんていうのはよく見られた光景で、野球部のエースだという事に加え誰にでもフレンドリーな山本だったから当然女子には人気があり、また黒川自身もそのミステリアスな雰囲気から影ではなかなか男子に人気が高かったのもあって、同じ中学出身だったりずっと同じクラスだった事で冷やかされたり何某かを囁かれた事もあったが、全くもって二人ともどこ吹く風だった。おまけにこの男は高校時代甲子園を湧かせ、卒業してからはすぐにプロの世界に飛び込んでしまったし、黒川自身も海外留学をして何年も日本にいなかったから2人がどういう関係かなんていうのは、いつの間にか誰からも噂されなくなっていた。
けれど不思議な事にその海外でいるときですら、山本はたまにこうしてふらりと自分を尋ねて来ては飲んだり、夕飯を奢ってくれたりしていた。どうやって居場所が分かるのかと問えば、いつも答えは
『何となく』
お前は犬かと思ったことが無かった訳ではないが、別にストーカーみたいなものではないし、実はこれはこれで案外と居心地が良かった。


恋愛感情は?と聞かれたら大口で笑ってやれる。なぜならば自分はもっと色気のある男が好きだから。
(大体コイツ、男と付き合っているらしいじゃない)
けれど、山本以外の他の男とこうして2人きりで飲みに行ったりするかと聞かれたら、行かないよと言える。だって、付き合っている彼に悪いじゃないか。幾ら何もないと言ったって、絶対勘繰られるに決まっているのだから。


(じゃあ何で、こいつはいいのかって?それは・・・あたしにもわかんないけど)
でもきっとそれはこいつも感じているんじゃないのだろうか。何というか、あたし達はお互い気が楽なんだと思う。絶対こいつとは恋愛関係になることは在り得ないと分かっているし、だからこそお互いの存在を大事にしたいって思っているのではないだろうか。
男と、女の友情を。ずっとずっと、何年たっても。


「黒川ー、こらお前飲みが足りねえぞ!」
「うるさいわねー、あんたあたしがどんだけ飲む女だと思ってんのよ」
「えー・・・・うわばみ?」
「それ、あいつの前で言ったら殺すわよ」
「あははは、彼氏の前では可愛くいたいってかー?」
「いじらしい乙女心ってやつよ!」
眩い笑顔で女の子に対しても可愛くないことを平気で言う男の顔をつねってやると、いてぇよ凶暴だな〜なんて、また笑う。
少しずつ精悍な顔つきに変わっていくこいつの成長振りを見るのも結構楽しみの一つ。


だから。
(こいつの中のあたしのポジションは、誰にも譲る気は無いの)


ずっとずーーっと、永遠に。


おわり

私がビアガーデンに行きたいんですよーーーっっ!!花ちゃんの付き合っている人って誰なんでしょうね。まあ山本はその人の事も知ってるし、じつはHなネタも聞いたことあったりして。二人とも女の子のノリで(どっちかってーとオヤジのノリ?)色々話しまくって欲しいです(^^)

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