リクエスト・企画小説
花&京子編
学校に着いた山本が教室に入ると、早速女の子達からのプレゼント攻勢が始まった。
「山本君これどうぞ」
「武これあげる!」
小学校5年生くらいから伸び始めた身長のおかげか、はたまた少しばかり野球ができるせいなのか(ここで顔がいいからとは思わないのが山本だ)、中学生になった初めての誕生日に、上級生からもプレゼントを頂いて結構驚いた。
 とは言うものの、必要無い物を貰ってもせいぜい何日か飾った後は部屋の隅に追いやる事しかできないので、2年に上がる頃野球部の先輩後輩にちょっとだけ手伝ってもらって『山本は部活で使う物を貰うと一番嬉しいって言ってたな〜』と吹聴してもらったり・・・。
 そんな訳で今年も山本の手の中には、野球のボールやグローブを磨く為のオイルやタオルが集まりつつある。いつかの王子様のおかげでハンカチなんかもあったりして、普段そういうものはあまり自分で買ったりしないだけに、それはそれでありがたい。まぁ一番多いのはやっぱりお菓子の類なんだけど、友人の多い自分にはこれまたうってつけのプレゼントではある。
「はー、またよく集まるわねぇ」
「すっごい山本君!」
机の両脇から上がった驚きの声に後ろを見れば、黒川花と笹川京子が手元を覗きこんでいた。
「おはよ。なぁすげえよなあ、俺も朝だけでこんなに貰えるとは思わなかった」
ははは、と笑って後ろ頭を掻く山本の、その悪びれなさと言うか天然さに、二人は顔を見合わせる。


 彼女達一人ひとりは―――そりゃ全員が全員、そうだとは言わないけれど―――きっと山本に少しでもこの恋心が届いてくれますようにと、祈りにも似た気持ちを込めて一所懸命(とは見せずに)、そしてドキドキしながらプレゼントをあげた筈なのに。
 そういうの伝わっているのかなぁ・・・目の前の脳天気な笑顔に、何となくプレゼントを上げた女の子達の気持ちを慮って同情してしまう。
(ちょっと困らせちゃえ)
笹川京子は山本の手の中のプレゼントの山から1つ、赤い水玉模様のリボンがかかった物を手に取ると、そのリボンをするりと解いた。
「笹川?」
「大丈夫リボンだけだから」
「何するの京子」
「ちょっとね」
山本君じっとしててね。笹川京子は山本の真後ろに回ると、慣れた手つきで短い髪の毛にリボンを2〜3回巻きつけ、可愛らしいちょうちょ結びを作った。
「あの・・笹川・・・?」
頭髪がきゅっと真ん中に集められた感覚が何となく気持ち悪くて笹川を振り返ると、笹川のとなりにいた黒川花とバッチリ目が合ってしまった。しばらくじっと自分の頭頂部を見つめていた黒川が、たまらないとばかりに噴出せば。
「ぶっはーー!!」
その黒川の笑い声で一斉に山本にクラス中の視線が集中し一気に教室内は騒がしくなる。
「きゃーーーっっ!!武かわいーーーっ!!」
「うけるナニそれーーーっ!!」
「京子ナイスー!!」
周囲の男子を押しのけて、教室中の女子が山本の周りに集まり沸き立って、自分よりもその隣に座っていたツナや獄寺のほうが驚いていたくらいだ。
「プレゼント沢山貰ってるんだから、少しくらいお返ししなくちゃでしょ?」
「これってお返しなのかぁ?」
「そうだよ。ちゃんとプレゼントもらいました、ありがとうってしるし」
「・・ふぅん・・」
今日は一日これ外しちゃダメだよ?
 にっこり笑う笹川は、さすが未来のボンゴレ10代目のお嫁さん。よく分らないけど、笹川がそう言うんだし、女子も喜んでっからいいか。あ、でももしかして体育の時も外しちゃいけないのかな、今日体育サッカーなのにヘディングできないのなー。そんなことしか考えていないこちらもいつも通りの天然野郎。


 そんな山本武が廊下を歩いて水玉のリボンが揺れるたび、女子達がきゃあきゃあ騒いで、ケータイのシャッター音があちらこちらで鳴っていたのは、一足先に卒業してしまった恐ろしき風紀委員長はもちろん知る由も無い。



 カッコいい男の子がちょっとお茶目な事してると騒ぎたくなりますよね。山本はもてるけどその事にたいして恋心とか意識はしてないと思います。あくまでも、ファンから貰うプレゼントみたいなんじゃないかなぁ・・。分っていても京子ちゃんは女の子の味方(笑)

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あきゅろす。
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