リクエスト・企画小説
ヴァリアー編
 イタリアの誕生日はその誕生日の対象者が誕生会を開催しホスト役をするのだという事を、俺は祝ってもらいプレゼントを手にするのが当然だった日本出身者なのでぜーんぜん知らなかったんだ。


「あら誕生日なのおめでとう」
「Buon compleanno なんだ武お前いくつになったぁ?」
「Buon compleanno へー、あ、このケーキ美味いね」
「Buon compleanno もっと無いの?あれ大体パーティーするにはご馳走少なくない?」
口々に山本へのお祝いを述べつつ、その口の中に消えていくテーブルの上のご馳走は、山本がこれから食べようと思って腕によりを掛けたもの。
「あ、あの・・」
あっけに取られて見つめる山本の後ろには、恋人ザンザスが口許を隠して面白そうに立っていた。


 誕生日くらい無傷でザンザスと過ごしておいでと優しい当主から有給を貰った山本は、前日の夜から喜び勇んで恋人ザンザスの住む居城へと車を走らせ、その広い胸に飛び込んだ。朝もゆっくり時間を気にせず二人でベッドの住人と化していたが流石に腹は減る。どうせ誕生日なのだからと二人分の食事に精を出し、ケーキを焼いてさあザンザスを呼んで食べようかと言う時、この腹ッぺらし共がドアを開けてドヤドヤと入ってきたのだ。


「こうなるって知ってたんなら言ってくれりゃいいのに・・」
せっかく作ったのにさ、俺一切れも食べられなかった。ベッドの上でザンザスの背にもたれあーあと高い天井を見上げため息をついている山本の頭を、振り返りもせずに頭上からわしゃわしゃと撫で回す。
「プレゼントならやるから、そう嘆くな」
ゆっくりザンザスの方を向いて肩越しにこちらを覗き込もうとする山本の頬に、ザンザスはすかさず唇を押し当てた。



 ヴァリアー編。このあとザン山編へと続きます。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!