リクエスト・企画小説
制服を脱がさないで!!(ヒバ山)
カオルが泣いて、ツナが笑って、獄寺が唇噛み締めて。
『ただいま』っつったら、何でかな?雲雀が怒っていた。
心配かけたんだろうなあ。
申し訳無い気持ちで、ごめんなさいを込めて視線を合わせたら―――。


「ひえっ?!」
な、ななな何と雲雀が白目剥いてるーーーーーーっっ!!!


ななな何で?!俺もしかして此処に来ちゃいけなかった?!また雨戦の時みたく、邪魔されたとか思ってる?!


「山本武!!」
「わっ!?何だひばり!?」
うわぉ声が裏返っちまったぜ!
でもでも仕方なくね?だって雲雀ってば


(こんな公衆の面前で名前呼びするんだもんな照れるじゃん!!)


「ちょっと・・・・なにクネクネしてんの・・・」
「ええ〜・・クネクネって・・・」
一人で照れ照れしていたら、突然雲雀の手が俺の胸元に伸びて来た。どうしたんだろう。あ、もしかして怪我の状態が気になっているんだろうか?雲雀・・・相変らず俺には優しいのな!
笑い返したら、やっぱり怪我の心配してくれてたんだな!手と手が左右に開かれてビリビリって服が―――


ビリビリ






・・・・ビリビリ?






「ぎゃーーーーっ!やめ!やめろやめてちょっとひばりーーーーっ!?」
なんと!白目を据わらせた雲雀は、その細腕からは想像も出来ない馬鹿力でコートのファスナーを引き裂いたと思ったら、コートそのものを俺の体から剥ぎ取ろうとしているではないか!
「切れる!いやもう切れてるーーーーーっ!!」
「うるさいうるさい!!なにこのもふもふは!?誰!?一体誰なんだい君にこんなカッコ可愛い衣装を用意したの!?全く君は僕だけじゃなく草食動物やサメに馬にまで愛嬌振り撒くだけであきたらず今度は変態ヌフフ男まで虜にしようって腹なのかい!!!」
「言ってること全然わかんねーからひばりーーーーっっ!」
「しかもナニコレ?!下真っ裸!?誰を悩殺しようっていうのまさかアレか?!ヤク漬けパイナッポーじゃないだろうね?!」
「違っ・・!これは病院にTシャツとか無くてしかたなく・・」
「まさか・・・下も・・ズボンの下すっぽんぽん・・!!!!」
「パンツは穿いてる!――ってちがーう!!ひばり元に戻ってくれーーーーーーっっっ!!!」
どんなに叫んでも雲雀の目は白いまま。流石にこのまま行けば雲雀に裸にされるんじゃないかと怖くなった俺は、一体どうしたらこの状況から助かるか(だっていくら何でも全部取り払われたりしたら風邪ひいちまうっての!漸く病院からおさらば出来たってのに、そいつばかりは御免だぜ)頭をフル回転させ。
「ひばり!」
「な」
「んーーーーーっ!」
「ンム・・・!」




俺の想いよ君に届け―――!!!




お姫様のキスで目覚める王子様のお伽噺のごとく(ん?逆?まいっか、気にしない気にしない!)、決死の覚悟で雲雀の唇を塞いだら。
「・・・・ひばり?」
漸く落ち着いたのか、ゆっくりと目蓋が落ちて、再び開かれた瞳には俺が映し出されていた(てか、今度は周りが白目剥いてるのな!またかよ?!)。
「山本・・・」
漆黒の瞳に捉えられたまま、そっと、頬に触れられる。ああ、この体温、俺の雲雀だ。
嬉しくて掌に頬を擦り寄せると、反対の頬に柔らかな唇が。反射的に目を瞑ったら、くすりと笑う声が聞こえた。
「ひばり・・・あの、」
「・・・おかえり」
「―――!」


ただいま!


もう誰が見ていようが我慢出来なくなって、抱き着いて「長ラン、キマってるな」と言ったら、当たり前だと切れ長の目が細められた。
そうして、後ろでいい加減にしろと怒鳴った獄寺が、雲雀の右手から放たれたトンファーによりひっくり返ったけど、俺は雲雀にしがみつく手を弛めなかった。




ごめんな皆。




だって俺、もうこんな風に自分の足で立って抱きついたりなんてこと、出来ないって思っていたから。




だからあと3分だけ、この幸せを噛み締めさせて欲しいのな。




おわり
怒ったり優しくしたり、恋する委員長は大変です。
いくらでも噛み締めて山本・・・!!!
皆にはいい迷惑だけどね(笑)


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あきゅろす。
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