リクエスト・企画小説
イーピン
ノックをされたがいつまで経っても入ってこないので仕方無しに開けてやれば、自分の胸元ほどしかない少女が少しさびた銀色の箱を二つも手に提げ立っていた。


「はいこれ、プレゼントです。ラーメン美味しいですよ」
にっこり笑って片方を差し出され思わず受け取ったはいいが、この少女が一体何処のどいつだったか思い出せない。
まさかとは思うが、どこぞのファミリーの刺客だろうか?もしそうなら、こんなに簡単にアジトに入れた不甲斐ない奴らを許すわけにはいかないだろう。後で血祭りに上げなくては。
銀色の箱からは、確かに美味そうな匂いが漂ってきてはいるが、はいそうですかと簡単に口にするような馬鹿では、暗殺団のボスの名折れだ。
ソファに腰掛け、毒味役に誰かを呼んでやろうと携帯を取り出していると、何故か少女までが隣に座り込んできた。
「・・・・・おい」
「川平のおじさん、怒ってるかなあ」
「・・・・・あ?」
「早く行かないと、ご機嫌損ねちゃう」
「・・・・・」
「ここから随分遠いのよねえ」
「・・・・・じゃあ来るなよ・・・・」
どうも殺し屋というにはとんちんかんな事ばかりブツブツ呟いているが、それがこの少女刺客の手なのかと思えば油断は出来ず。
「ああ〜・・!!ラーメン伸びちゃう〜っ!!」
少女は座った膝の上で拳を握り締めた。刺客か、そうではなく普通の少女なのか。どちらにせよ、酷く焦っている様子。
・・・正直煩わしい。
ザンザスは携帯を開きジェット機を一台用意するように言いつけ、少女の首根っこを掴んで執務室からポイと追い出した。


「で、おかもち一個と引き換えにイーピンを日本に送ってやったってわけか」
あはははは、笑う男の背中に片目だけで視線を投げつけ、ザンザスは再びクッションに頭を埋めた。
どうやらあの少女はボンゴレのファミリーではないが、名のある殺し屋で通っているらしい。相当な拳法使いだとか。アルコバレーノの1人とも浅からぬ関係があるという。
「もったいねーな、ほんとイーピンがバイトしてる先のラーメン美味いのに」
おかもちと呼ばれる箱の一面を持ち上げるとそこには、もう熱さを無くし伸びきったラーメンと割り箸が鎮座していた。
「これでも良かったら、一緒に食うか?」
一膳しかない箸で、半分ずつ。延びた麺はいただけなかったが、汁は確かに美味かった。


今度日本に行った際は、この店に連れて行けと言ったら、山本が絶対行こうな!と嬉しそうに笑った。



おわり
食べてばっかりだ(笑)

 

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