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遠距離恋愛中
「山本先輩っていうんだってー」
「キャプテンですっごく上手いんだって!!」
「かっこいいよねー!!」
野球部の練習時間になるとグラウンドの金網越しに鈴生りになる女生徒たち。入部当時からことさら女子に人気のあった山本武ではあったが、去年の10月頃から今年3月まで、そういえばこういう光景とはご無沙汰だった気がする・・・。
「そう言われれば、何でだろ?」
同学年のチームメイトが柔軟する自分の背中を押しながら問いかけるのに首を傾げ答える。まぁどちらかと言えばそんな子達がいたかなーくらいにしか思っていないのだが。
 そう、この男が知る訳が無いのだ。天然・安全・好少年と教師の間でも好印象、友人獄寺言う所のただの野球馬鹿山本武の身の安全が、この半年間誰のおかげで守られていたのかなど。


「そう、また小うるさい雀が群がり始めたの」
並中に残してきた腹心の部下からの連絡に、屋上でタバコを吸っていた生徒に粛清を促していた雲雀恭弥は、既に意識をなくしてうな垂れている上級生をコンクリートの上に投げ捨てた。
 まったく、己の可愛い彼氏は相変らず誰に対しても警戒感が無くて困る。―――『警戒心いっぱいであったなら、こんな怖い男となんぞ付き合ったりしないだろう』という周りの戯言には耳を塞いで、雲雀は電話の相手に向かって指令を出した。


 その日から放課後になると金網の周りを風紀委員が徘徊するようになり、うるさかった雀達はくもの子を散らすように鳴りを潜めたという。そして同時に山本武の半径3メートル以内に踏み込んだ女生徒は、何故か最強委員長が去った後も未だに風紀委員が使用している応接室に拉致され、おっかない顔つきのリーゼント頭に『山本武に近づきません』という念書を書かされるようになったそうだ。その禁を破った者は、例え女子供であろうと容赦しないよという呟きと共に轟音で迫り来るスチール棒の恐怖に、夜毎怯える事になったらしい。


 
 可愛いあの子を女の魔の手から守るために、委員長も必死です(笑)ところで、すみません私草壁さんは3年だとばっかり思っていたのですが、武達と同い年だったんですねー!!またもやウッカリ・・・。

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あきゅろす。
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