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ユニと足長おじさん おじさんは姪っこが大好き
物心ついたときから、ずっとこの家に一人だった。お世話係だというおじさんおばさんは優しかったけれど、本当はたまに来る『お母さん』という人と、ずっと一緒にいられたらいいのにと思っていた。
お母さんは綺麗で笑顔がとても優しくて声が素敵だった。お母さんの声でユニ、と呼ばれると、その名前が何だか特別な物みたいでとても嬉しかった。
どうして一ヶ月に一度なの。どうして夜になると帰ってしまうの。聞きたくて、でも聞けなくて。だって、困った顔されるのはいやだから。困った子だと思われるのは嫌だから。


「困ったりはしないと思うぜ?」
いつもふらりとやって来る背の高い男の人は、お母さんの知り合いなんだといって笑っていた。
その人は何故か窓から入ってくる。知らない人としゃべってはいけません。ついでに言うなら本来なら部屋に忍び込んでくるなんて常識的に許されないことだ。
けれど、なぜ許してしまったのかといえば、その笑顔が誰かを思わせたから。
「お母さんは、どんなときでも、ユニが大好きだからさ」
その人はそう言うと右手をパッと後ろに隠した。
なんだろう、覗き込もうとするとささっと逃げる。そうして、ん〜と考え込むように目蓋を閉じ、うな垂れたままのその人からすすっとユニの目の前に伸びてきた手には。

ぽん

「わぁ!!」
ピンク色の小さなバラの花。
「プレゼント」
バラをユニににぎらせて、器用にするする動く指先から現れるのは色々な国の旗。
「すごーい!!魔法みたい!!」
驚いて、感心して、感激して。そんなユニを見てその人は笑う。
「はは、ユニ笑ったな。そうそう、そんな顔してな、ユニは笑ったほうがずうっと可愛いぜ!」
ほい、と旗の端を握らせて、その人はまたなと窓を飛び越え行ってしまった。


ねぇあなたはどこに住んでいるの?どうして私を笑顔にさせてくれるの?


ベッドの柵に掛けたバラと国旗。その前に貰った物も大切に全部飾り付けてあるの。
あなたが誰かなんてほんとはどうでもいい。


だってあなたは私に笑顔をくれる魔法使いだから。



おわり
イメージとしてはルパンというよりは、小公女のセーラに色々してくれるどっかの執事さんみたいな感じで(笑)いましたよね、そんな人。
姪っ子がいると知ってじっとしていられない山本さんでした。(なぜ兄妹にしてやらないかといえば、そういう関係が大好きだからさ!!)

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あきゅろす。
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