よろず小説
花の道
学校が終わり、ナッツハウスへの道をこまちは歩いていた。今日はかれんが生徒会で遅くなるというし(もうすぐ文化祭だものね。生徒会長の任期も残すところあとわずかだし、かれんあまりムリしないといいけど・・。)他のメンバーもおのおのすることがあるらしく、そのまま家に帰っても良かったのだけれど、何となく そうなんとなくもう日課のようになってしまっているのだ。
思えば珍しいことだ。かれんに言わせると、おっとりしていて自己主張が無さ過ぎるというそのあたりが(「要するに優しすぎるのよね こまちは!」と眉尻を下げて言われても、自分としては周りの言動を面白いなぁと、眺めているだけなのだけれど。)意外にも人を遠ざけてしまうようで、実は親友と呼べる人もかれんの他にはいなかったりする。そんな風だから、はっきり言うと男の人とだって話すことすらなくて。
(なのに何で足がこっちに向いてしまうのかしら?)
ほんの少しだけでも顔を見たいと思う。
挨拶だけでもいいから、声を聴きたいと思う。
(これは なんなのかしら)
そっけないのに優しくて、でもそれはきっと誰に対しても同じなのだ。なのに。
(あなたが居るとドキドキして苦しいのに、会えないと泣きそうになるの。)
こまちは道端に生えていた名も知らない花を、そっと手折った。
(すき きらい すき きらい・・・・)
黄色の花びらが、はらはらとこぼれていく。一枚一枚まるでこまちの心が溢れ出しているかのように。
( わたしは あのひとが )
おわり
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