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ごちゃまぜどころ
9


あの日から山中がうちに来なくなった。まあ、当然といえば当然だろう。




「お疲れ様ー。じゃあ報告書は俺が持ってくから。解散ネ。」

その言葉の次の瞬間カカシ先生は視界から消えた。瞬身、あれ便利はそうだ。

と、回らない頭がそんなことを思う。

「サッスッケくぅーん!」

カカシ先生の姿が消えた途端サクラの周りに見えないハートが乱舞した。毎度毎度本当に懲りないよね。…山中も似たようなものだけど。

「えっと、その、これから一緒にお茶、しない?」

「断る」

その言葉にガンっと効果音がつきそうな表情をしたサクラをおいて瞬身とまではいかないけれど結構なスピードでサスケはその場を去った。

ここはいつもの絡みを入れるところである。灰になっているサクラを見て代わりにじゃあ俺とという言葉を告げるパターンだ。

けど、最近はそんなことする気力もない。確実に山中のせいだ。あの日もそうだったけど。なんであいつなんかにこんなにペースを狂わされなきゃならないんだ。

「どんまいってばよ。サクラちゃん。まあ、次があるってばよ。」

「ナルト…」

暗い雰囲気のままサクラはこちらを向いた。どんよりとした空気が重い。

サクラの瞳が光った。

「お茶行くわよ。」

先ほどのサスケに対する時とは大違いのハッキリさでサクラは俺の腕をその怪力で掴んでズンズンと歩き出した。

どうしてこうなるわけ?



「ナルト…」

サクラはやってきた茶店で団子とお茶を二個ずつ頼むと俺をまっすぐ見てきた。

本当に何?

「あんた…どうかした?」

「…へ?」

「へ?じゃないわよ!あんたここ最近任務中ぼやけてること多いわ、ミスは少ないわ、極め付けにどんまい?次がある?!あんた変なもん食べたんじゃないの?!」

ミスが少ないことを問題点に挙げられるような忍者は俺だけだろう。

「どっどうしたんだってばよサクラちゃん!ミスが少ないことはいいことだってばさ!修行のたまもんだってばよ!」

「じゃあなんでぼやけてるのよ?ため息多いのよ?どこか遠く見てるのよ?」

「………。」

まさか俺、そんなだったわけ?

「もしかして、あんた自分で気づいてなかったの?」

「だから、俺ってば全然平気だってば。」

「何言ってるのよ?あんたチョー変よ!まるで恋した乙女みたいよ?」

「恋した乙女…」

なにその鳥肌フレーズ。前に自分がサクラたちに使った言葉だが自分に使われると気持ち悪い以外の何物でもない。

「もしかして…あんた好きな子出来たんじゃないの?」

は?何言ってんだサクラ。

「何言ってんだってば?俺ってばサクラちゃんのことが」

「好きならさっきの言葉は何よ?それにあんたのノリっていっつも恋愛のノリじゃないのよ。」

だから、適当にこっちも流してたんじゃないの、とそう続けるサクラに思わず演技も忘れて驚いた。

気づいてたんだ。

「何よその顔は?普通に気づくわよ。恋する乙女舐めんじゃないわよ?」

「恋する乙女って鳥肌たつってば…」

先程のサクラの言葉のせいでそのフレーズ自体に拒否反応が出た。

「あんたねぇ…その言葉は完璧好きな子に向ける言葉じゃないわよ。」

山中にはこういう言葉普通に言ってたけど。…うわ、なんで山中がここで出てくるって…。

ああ、頼むから思考。お前はここで停止してくれ。

そう願うも虚しく、頭の中でもサクラの中でも話はドンドン先へと進む。

そしてはじき出される答えに。


「その私が断言するわ!あんた今、恋してるわね!今の表情で確信したわっ!」

「嘘だって誰か言ってくれってば…」

思わず本音が零れた。両手で顔を覆う。

そんな俺にサクラは情けなしの最後のトドメ。


「認めなさい。その顔は


恋してる男の顔よ。」

なるほどね。そりゃああんだけ動揺した訳だよ。よりにもよってなんで山中なんかに。



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