ごちゃまぜどころ
7
始めて山中がここへ来た時だって同じように俺の中にあるナニカについての会話をした。
俺は平然と自分にはナニカがあって、けれどそのことは伝えられないということを彼女に告げた。
その時に俺は本当のことを彼女に告げても別に良いと心の何処かで思っていた筈だ。
ただ里でのことと、その後のアカデミーでの変化に惰性を感じて言わなかっただけ。
ならば今、里の言語統制の令は俺には適応されないのだから。こんな確信に迫ったような質問をされた時点で本当のことを告げても構わない筈で。
もしくは面倒ならば前のように軽くかわしてしまえばよかった。
その筈なのに。
何故自分はこれほどまでに動揺しているのだろうか。
二つの葛藤がぐるぐると腹の中で混ざり合っている。
知られたくない。
知って欲しい。
けれど知られたら?
分かりきっているその答え。
この里全体がその答えだ。
そして自分はとうの昔にそのことについて自分と決着をつけた筈。
諦めることを、期待しないことを学んだ筈だ。
なのに。
「ナルト?」
ひたすら山中の瞳を見つめながら俺は自身の思考へと沈んでいた意識が浮上するのを感じた。
「…ごめん。私、少し調子乗ってたわ。」
あんたなら許してくれると思っちゃったの。
そう続けて言葉を紡ぐと同時に気まずげに視線を逸らされた。
こっちは逸らさないように必死だったそれを簡単に逸らされたのを見てお門違いではあるが少しイラっとした。
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