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ごちゃまぜどころ
拾うはめになる
こんにちは、成り行き会長親衛隊隊長の花宮です。ただいまボロボロの男を目の前にどうしたものかと考え中です。



ことの始まりは十分前。

最近会長を見かけないという声が親衛隊の中に多く、まさかもじゃ公に?!という不穏な空気が流れ始めたのでますます仕事が増えて大変。というわけで仕事のために、授業をサボってえっちらほっちら学園内を奔走していたところ、寮に続く道に行き倒れる人を発見した。もし僕が大きければどうにかしてあげられただろうけど生憎僕の身長は親衛隊サイズから抜け出せていない。目の前の180超えてそうな男の敵なんてどうしようもない。

ゆさゆさと大きな体躯を揺らしてみたり、おーい掘られるぞーとここじゃ冗談では済まされなさそうなことを言ってみたりしたが一向に目を覚ます気配がない。本当に掘ったりしたら目を覚ますのだろうか?まあ、そんな趣味無いけどね。

誤解のないように言っておくけど僕、ノンケですから。高校からここだけどそれより前は普通に私立の共学行ってたし。顔も別に悪くないので彼女の一人や二人、五人や十人居ましたとも。童貞は中二の時にその当時の彼女の香里奈ちゃんと卒業しました。

まあ、その後すぐに別れちゃったけどね。彼女欲しいんだけど今はそれどころじゃないので作ろうにも作れない。

それにしてもこの人どうしたもんかな?

うーむと唸っていると僕に影がかかる。後ろを振り向くとこれまたLLサイズのあり得ない程のイケメン発見。凄いオーラだ。もしや会長様だろうか?いや、確信持てないし取り敢えず保留で。

「お前、親衛隊隊長の花宮だな?ここで何をしている?今は授業中の筈だが。」

渋い。なんだかオーラも重厚感溢れる感じでなんだか侍みたいな感じだ。イケメンなのに時代間違えた堅い口調。いや、イケメンだから許されるんだな。自他ともに認めるフツメンの友人がこんな風に話した日には爆笑する自信がある。

「ええとー、今親衛隊内が不安定なためぇ一応制裁がぁ無断で行なわれていないか見回りをぉ。」

「それは風紀の仕事の筈だが?」

「視点の問題ですぅ。風紀の方々が周らないポイントや親衛隊独特の制裁ポイントみたいなものがあるのでぇ。そこらへんは僕じゃないとわからないと判断して見回りをしてますぅ。」

無表情だった彼の顔が少し動いた。ピクリと動いた眉。うわ、不愉快なんですね。分かります。そりゃ親衛隊隊長がこんな時間にひと気のないところをうろついてたら疑わしいだろう。

「因みに風紀の方々にも許可を頂いてますよぉ。」

けど実は許可を貰っている。今みたいに見つかったらあとあとめんどくさいことは目に見えていたので事情を纏めた資料とともに許可証を提出している。風紀の幹部以上なら誰でも印鑑を押せるらしいので友達に押して貰った。親衛隊隊長なんてやっているけど友人くらい何人かいますよ僕。

ピラリとポケットに入れていた許可証を開いて渡した。

ピクリとまた眉が上がる。そんなに意外か、そうか。これ以上めんどくさいことになるくらいなら予防くらいちゃんとするんですよ僕はこれでも。まあ、そういう意味で意外だったんじゃないだろうけど。

「渡辺か…。分かった。ここにいる理由は理解した。だがその後ろにいるのはなんだ?」

「あ。」

すっかり忘れていた。この人居たんだった。どうしよう。そうだ、この人に運んでもらおう。うん。それがいい。


「すみませーん。この人行き倒れてるみたいでぇ、先ほどから声をかけてるんですけどぉ一向に目が覚めないみたいなんですぅ。申し訳ないんですけどぉ、何処か安全なところに運んであげてくれませんかぁ?僕じゃ力が足りなくってぇ。」


誰だか知らないがお願いします。知らない人だけどよく見たら凄く衰弱してるしなんか本当にヨレヨレで可哀想だ。せめて室内にいれてあげて欲しい。

僕の言葉にピクリとまた眉が上がる。ああ、めんどくさいんですね。わかります。けど可哀想だよ。本当に。僕がガチムチのホモ野郎だったら今頃ーッアな展開だ。冗談じゃなくマジで。そういうところなんだよここは。

少し間があったあと、目の前の侍イケメンは小さくため息をつきながら行き倒れの彼を運んでくれた。

「これは俺が保健室に運んでおく。お前は見ま」

わりを続けろ。

そこまで言い終わる前に侍イケメンは行き倒れの顔を見て止まった。


「おい。これはお前の管轄だ。運んでやるがお前があとはどうにかしろ。」


僕の管轄?もしや制裁?え、マジで。制裁事後?!げーげげー!僕の隊じゃないよね?!違うよね?!確かに洋服ボロボロだし。顔色悪いし。もしやワイシャツに隠された身体は痣だらけ?!


「もっ勿論ですぅ!!彼は責任を持って僕が介抱しますぅ!」

証拠隠滅!痣なんか見つかる前に隠さなきゃ!やったのが僕の隊だった場合には目も当てられない!

僕の部屋に!と急いで言うと一瞬訝しげな表情をされたがすぐにめんどくさそうな顔に戻り行き倒れを僕の部屋まで運んでそのまま侍イケメンは帰った。


そして今に戻る。ベッドの上には取り敢えず身の回りを綺麗にした行き倒れ。僕には大きいベッドがこいつには小さいのを見て思わず舌打ちが出る。

いやいや、取り敢えずどうにかしなきゃ。痣とかのチェック?うん、そうしよう。プチプチとボタンを外す。

そういえばさっきの侍イケメンは結局誰だったんだろうか?質問の内容からして学園運営側だよね。やっぱり会長様だったのかな?



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あきゅろす。
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