ごちゃまぜどころ
6
それはよくある昼下がり。
俺は任務がなくて、山中はいつも通り自分の班のソレを終えると真っ直ぐ俺の部屋へと足を運んだ。
目の前には最近山中が持ち込んだ珍しい葉を使って淹れたお茶。
ついでに常備してある山中専用のお茶請けも置いてある。
そんな状態で一方的に話される山中の世間話や愚痴を俺は巻物を読みながら適当に相手をするのがよくある俺らの昼下がりだ。
「そういえば、あんた結構前の長期任務って波の国へ行ってたのよねー?」
「……」
そして山中がふと、今までの話題をソレに移したところから全ては始まった。
「いいわねぇ、里外任務でそんな遠いところ行けちゃうなんて!」
「……」
態とらしい。
山中はこんな素直に物事を羨ましがるタイプではない。本当に羨ましいならもっと俺に対して喧嘩を売るような話し方になるのが常だ。
他に対してどうかは知らないが俺に対しては何時だってそういう態度を取る筈なのに。
手に持っていたポーズばかりとなっていた巻物をしまい、訝しげに眉を寄せながら山中へと視線を向けた。
「この前帰ってきた時、任務がどうだったのか教えてくれなかったじゃなーい?」
さり気なさを装っているつもりだろうか?
確かに下忍にしてはかなり上手いそれも演技に関して言うならば恐らくこの里一長けている俺には
ーーーバレバレだよね…
「…だから、私。サクラに聞いたのよねー?色々と。」
こんな遠回りに話す山中なんて見たことがない。らしくない。
「……はぁっ。で?山中は何が聞きたいわけ?」
思わず溜息が漏れる。
俺の言葉で自分の演技がばれていたことを察したのかどこか覚悟を決めたような顔をする。
「サスケくん瀕死状態だったらしいじゃなーい」
「…そうだったね」
「何だか知らないけど霧の奴らにやられて?血継限界ってやつだったかしらぁ?アンタと二人で鏡みたいなものに囲まれたんだって言ってたわ。すっごく強い相手だったんでしょー?」
「…まあね」
「…その時、サクラが禍々しい赤い光が爆発するのを見たんですって」
「……」
「それってーー」
口に出されなくても続きの言葉は予測がついた。
真っ直ぐ見つめてくる山中から目が離せなかった。今までの経験から目を離すことは何か疚しいことがあることを認める動作だと知っていたから。
例えばイルカ先生を騙す時。わざと彼からその視線を逸らした。
だから、山中から。その視線から目を離せない。
けれど同時に言葉に詰まってしまった自分にも気づいていた。
こんな長時間黙っているなんてそれこそ認めている。
ナニカがあるってことを。
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