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ごちゃまぜどころ
4
「ああああああんた!な、ななななんて格好してんのよー?!」


今日は任務中突然雨が降り出した。予想外の強い雨に任務は後日へと延期となり俺はサクラちゃんに適当に話しかけるのも早々に家に帰ってきた。

ぐしょぐしょの洋服。下着までびっしょりと濡れているのを感じて直ぐにシャワーを浴びたところだった。

まさかこの大雨の中来るとは思わなかった山中が何時の間にかリビングにいた。

そして冒頭の台詞に戻るわけである。


「ああああんた!服!服着なさいよー!」

「うるさいよ、山中。誤解されるような言い方やめてよ。上着てないだけで下はちゃんとジーンズ履いてるでしょ?」

ガシガシと頭に乗ったタオルで濡れた髪の水分を拭き取りながら飲もうと思っていた水の入ったグラスをテーブルに置いた。

タオルの隙間から山中を伺いみると顔が真っ赤だった。これからかったら楽しそうだな。


けれどこれ以上叫ばれるのは大変困る。

「いっ良いからさっさと上着てきなさいよー!」

「分かったから静かにして。この前山中が叫んだ時、下の人から苦情来たから。」


そう、この前ついに近所から苦情が来た。

俺の言葉に山中はびたっと口に手を押し当てていた。




「着替えましたよお嬢様。」

適当に引っ張り出した紺色のニットを着て部屋から出ると山中はいつもの様にダイニングテーブルに座っていた。

「あんた、なんで上着てなかったのよー?」

「雨に濡れたからシャワー浴びてたんだよ。暑いからシャワーのあとは俺暫く上着ない主義なの」

「私がいる時は着てなさいよー。目に毒だわ。」

「まさかこんな土砂降りの中来るなんて思わないでしょ?それに山中顔真っ赤だったけど?実は喜んでたりしてー?」

ドMだとは思ってたけど変態だとは知らなかったな俺。

そう続けると山中は先ほどの様に真っ赤になって口を大きく開けた。

「だから、叫ばないでね?」

声を出す前に口を手で覆った。ついでとばかりに冗談半分で顔を近づける。

「叫んだら塞いじゃうよ?」

どこをどこでとは言わない。けれど俺の視線で察したのか山中は更に顔を赤くして目を見開いた。

そのまま俺は今までしなかった様な色を含ませた笑みを浮かべる。内心爆笑だ。

「分かった?」

ノリノリで声までそれらしくすると山中はついに限界を超えたのか口をワナワナさせながら勢いよく椅子から立ち上がるとびたりと壁に張り付いた。

どうやら俺からできる限り距離を取りたいらしい。

やばい、かなり楽しい。

心の中では転げ回りながら大笑いしつつ、俺も立ち上がって山中へとゆっくりと歩いてゆく。目を細めて唇には笑みを乗せる。見つめること数秒。

「なっなな」

言葉にならない音を出しながら山中の顔は今やトマトのように真っ赤だった。

「ぶっ」

堪え切れずに吹き出した。

「ふはっはははははっ!あはははははははは!ヤバッ山中真っ赤!てゆーかなっななってなに?!はははははは!」

人間笑い始めると止まらないもので、俺はそのまま数分間笑い続けた。山中本当に最高。久々にこんな面白いものを見た。

「ははははははっ!やばっ。まじで止まんなっ」

「なっ…なっ…」

「まっまだなっなっ言ってる!
はははははは!ヤバイ!すっごくウケる!」

「な…なぁーるぅーとぉーーーっ!!!」

響き渡る山中の怒声にあ、苦情また来るなと遠いところで思った。それでも笑いは止まらなかった。むしろ酷くなった。

顔真っ赤にして怒られてもね。

「山中って本当に面白いよね」

「あんたは本当に性格最悪よー!!」


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