ごちゃまぜどころ
似非王道くんが可哀想な話
こんにちわ。王道転校生です。
はい、はい、そうなんです。
鬘と眼鏡装備でもちろん隠された顔は誰もが認める美少女顔だぜ!初対面で副会長に惚れられて、一匹狼と同室で、クラスメイトの爽やかくんとも友達になって、食堂で生徒会コンプリートしたのちにその他先生から後輩先輩、ウェイターまでよりどりみどりイケメン三十六人フラグ乱立させてやったぜ!
というわけで、仕事終わったんで帰っていいですか?
「ダメだよ!君まだ本命決まってないじゃない!それだけ選り取り見取りなのになんで決まらないの?それ以上の男なんて世の中早々いないんだからね?」
わかってる?なんて可愛らしい声で話しかけてくる電話の相手。相澤みの。
「それはですね、みのちゃん。おれはどう頑張ってもノンケで男にキスとかされた日は十回ほど歯磨きしちゃう程度にはノンケだからだよ。」
あと忘れてる様だけど俺みのの彼氏だからね。
「分かってるよう。あたしだって君に本当に彼氏なんかできちゃったら怒っちゃうよ。」
「みの…」
「でもこれとそれとは話が別なの!今日はどんな一日を過ごしたの?」
「みの…」
一瞬キュンとしたのにそのあと崖から突き落とされた。
「今日はね」
それでも今日の同室の不良やら会長やらにアタックされた話をしちゃう俺はみのに相当ゾッコンらしいのだ。
「ええー!そんな人いるの?!君!明日は三十七人目ゲットだぜ!!」
そんな自分が哀れです。
そんな訳で彼女に言われて王道街道真っしぐらな似非王道くん。この子は絶対にホモにはならないと思う。この後現れる性悪平凡受けにフラグ全部奪取されてドヤ顔されるけどむしろ有難くてお礼とか言っちゃう。それに戸惑う性悪平凡(中二病ちっく)うん。そこのシーンだけ書きたい。
「俺がお前みたいなやつに惚れてたなんてな」
「そんなに浅はかな貴方に気づけなかった自分が憎いです」
「「僕らの光は君じゃなかったんだぁ」」
「……違う。間違ってる。」
などなど計三十七人にそう告げられて、俺の居場所は消えた。
「ねえ?アンタは見えてなかったんだよ。自分が光だなんて大間違い。ただの独りよがりにいつかは人は気づく。まあ、あいつらもあいつらで浅はかだったけど。お前が一番愚かだったよ。狂ったピエロさん。お疲れ様。」
そしてこれが三十八人目。最後の最後にそれを告げてきたのは親友ポジションに居たはずの彼だった(若干中二病っぽいと思ってたけどガチ患者だったのか。狂ったピエロって…笑。)
というよりも彼が僕のフラグを全て奪取していった。いや、本当肩の荷が下り降りたというかなんというか。
結構な数の人間に好意を持たれるのは辛かった。なんていうか一応彼女いるって言っといたんだけどキャラ的にハイハイと流されててなんだかんだと期待させていたのがな。心苦しかったです。はい。
まあ、とにかく。本当に俺の役目終了じゃね?これ。ねえねえ。つまりあれだよね。
「みの!今から会いに行くからな!」
「は?」
「あ!お前ほんとありがとな!肩の荷が下りたわ。これからはお前も大変だろうけど頑張れよ?」
じゃあなと告げて俺は学園を飛び出した。
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