これは愛だよ?
4
「嘉一...っ、一緒に帰ろう」
放課後HRが終わるといつものように久礼が俺の席へと来た。
眉を下げ力なく言葉を発する久礼に、甘えさせたくなったが
昨日のことを許していない俺は素直にうんとは頷かない。
「嫌って言ったらどうする、」
「...。」
そう言えば久礼は困ったように顔を曇らせ黙ってしまった。
「答えないなら俺は先に帰るから」
そんな久礼に痺れを切らして、俺は鞄を肩に掛けるとその場から去ろうと歩きだす。
「うわ...っ」
が、突然強い力で腕を掴まれ歩みを止められる。
「...嫌って言っても、一緒に帰る。俺は嘉一と帰りたいんだ」
俺の腕を掴んだ久礼は真摯な表情で俺の顔を見つめ「お願い」と弱々しく言ってきた。
「は、犬みたい」
そんな久礼の姿が犬のように見えクス、と笑みが浮かんだ。
俺が笑うと久礼は目を輝かせ掴んでいた手を緩めてきた。
俺自身、昨日のことをまだ許したわけじゃないが必死な姿に免じて、一緒に帰ることにした。
「早く帰るぞ」
掴まれていた手を払うと今度は逆に久礼の腕を掴み引っ張る。
「うん!」
そして俺と久礼は2人、教室を後にした。
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