これは愛だよ?
12
目の前にあるのは見慣れた扉。
耳を澄ませば聞こえる女の高い喘ぎ声。
それは前に来た時と同じ状況だ。だけど前みたいには終わらない。
俺はもう嫌気がさした。...どんなに俺が愛情を捧げ深めようとしても平気で他人と体を重ねる久礼に。
―俺はもう許さない。浮気相手も、愛しかったあいつ...久礼も。
「あっ、んん...ぁ、えっ、や...」
「っ嘉一!?」
ドアを開け中に入る。深く絡み合っている2人の元へ近づけば、女は余計に顔を赤くし久礼は反対に顔を青くした。
「最後の話をしにきたよ。...嘘吐きな、久礼君」
「なんで、ここに...ってか、最後ってどういうことだよ、」
驚き焦り出す久礼は女の中から萎えたそれを出し、俺の方に体の向きを変えた。
近くにあったシーツで体を隠す女の存在など眼中にないのか、だらしなく乱れた服装は直さずにそのまま。
ただひたすらに何か言い訳をしようと考えている様子だった。
―
――
―――
「俺たちはもう、終わりだ」
そして俺は手に持っているあるモノを強く握りなおし、ニヒルに笑った。
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