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君が好き...カモ。




 「ちょっと待て、お前細い奴に触るの嫌がってたくせになんでそいつには抱きついてるんだよ」


 「だから似てたからっていってるじゃん」


 「似てるって誰に、」


 なんだノベ、やけに突っかかってくるな。てかなんかさっきより距離が近くになってないか?
 徐々に近づいてくるノベに合わせて、俺も少しずつソファの端の方へとずれていく。


 「なんでノベに教えなきゃダメなんだよ。このことは神聖なことで、その人の名前は神に値する―――」


 「いいから教えろ。誰に似てるからあんな抱きついてたんだよ」


 「教えないよー、神聖なる名前はそう簡単には口に出せませ〜ん」


 じりじりとソファの端に追い詰められながらも、俺は黙秘権を実行し続ける。


 「そっかぁ...僕が誰に似てるか気になったけど...――」


 「君は俺の姉ちゃんの美羽姉の小さい頃に似てるんだよ!もう、クリソツ!っうわ!!」


 そんな俺とノベの近くで立っていたチワワ男子がぼそっといった言葉に俺は反応し、すぐさま教えてあげた。

 すると同時に俺をソファの端へと追いつめたノベに胸倉を掴みあげられた。


 「おいおい、随分あっさりとその神聖なる名前を言うんだな。俺が聞いた時あれほど嫌がってたのに」

 鼻と鼻がぶつかりそうになるほど近くにノベの顔があり、生理的な抵抗感で失神しそうになる。

 「ギャーーーッ!!近い近い近い!!い゛やぁーー!し、死ぬーー!」


 「うるせぇ!!」


 「あ...お、落ち着いて!2人とも落ち着いて!」

 異常なほどに叫び散らす俺をノベはさらに鋭く睨みあげ、チワワ男子は慌てたように俺とノベの間に入ってきた。
 そのおかげで胸倉を掴んでいたノベの手は離れる。すかさずチワワ男子に抱きつき、俺は涙目で肩ごしにノベを睨む.....ぁ、目逸らされた。

 「ありがとう!さすが美羽姉似のチワワ男子!」


 「え...ぁ、いや、どういたしまして?って、もしかしてそのチワワ男子って僕のこと?」


 「そうだよ!もうチワワみたいにクリクリで可愛いからね!」

 そう俺が言えば、チワワ男子は眉を下げて笑った。


 「えーと、じゃあ今更だけど自己紹介してもいいかな。僕は白木 雄二郎 (シラキ ユウジロウ)これからよろしくね」

 「ゆ、雄二郎!見た目とのギャップ感が激しすぎる...っ!おーけい、俺は春里 晃。好きに呼んでよ、ゆうちゃん!」

 「雄二郎だからゆうちゃんね」と付け加えれば、雄二郎ことゆうちゃんは先程とは違い、今度は嬉しそうに笑った。


 「あの君の名前もよかったら教えてもらってもいいかな」


 「ん?あぁ、俺は野倍 要。“ノベ”じゃなくて、“ノバイ”な」

 言い終わるとノベはじろりと、俺の方を睨んできた。

 「え、なんで俺が睨まれないといけないわけ」

 「ま、まぁまぁ、とりあえず晃君、要君、これから3年間よろしくね!」

 そして右手に俺の手、左手にノベの手をとるとゆうちゃんは上下に小さく振り、ニコリと天使のような笑みを浮かばせた。


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あきゅろす。
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