君が好き...カモ。
これは奇跡か!!
寮の廊下でひどく悲鳴、そして悲鳴もどき。
「きゃーーーーーっ!!」
「ぎゃーーーーーっ!!」
「きゃーーーーーっ!!」
「ぎゃーーーーーっ!!」
「きゃーーーーーっ!!」
「う゛るせーーーーっ!!」
しかし、怒鳴る一声で途端に静まる2つの声。
「そしてお前はいつまでそいつに抱きついてるんだ!」
「いやーっ、離れたくない!!邪魔すんなノベ!!」
目の前にいる、とある人物に抱きつく俺の体をノベは引っ張り引き剥がす。
「さっきノベじゃないって言ったばっかじゃねぇか!」
「あー、そんな話したような...いや、してないな!ぎゃっ、」
親指を立ててニカっと笑えば、ベシっと頭を叩かれる。
つーか、今日借りを作っちまったから代わりに俺に触ることを許してやったが、ちょっと暴力的過ぎないか。
今ので俺の大事な、天才的な脳細胞が何百個も死滅したぞ、絶対!
「あ、あの〜、」
俺とノベの間でどうでもいい物語が繰り広げられている中、か細い声が話を割いてくれた。
「あぁ、ごめんね!放置しちゃって。ささっ、ノベは置いといて部屋ん中にでも入ろう」
目の前のクリッとした瞳に小さな顔のチワワ男子の手を引くとドアを開け、中に引っ張る。
「ちょっとー、なんでノベもいるんだよ!」
ドアが閉まり、俺とチワワ男子の2人だけ、と思いきやちゃっかし中に入ってきたノベ。
「うるせぇな。別にいいだろ」
そして自分の部屋でもないのにズカズカと中に入って行く。
「はぁー、もう...それにしても君と同室者で良かったぁ!」
「あ、ええと、はい!」
そう、この目の前のチワワ男子は俺の同室者。
嬉しくてルンルン気分で居間の方に行くと、最初から設置されている大きめのソファに腰掛ける。
もちろん、すでに座っているノベとの距離を空けるのを忘れずに。
「でもドアを開けた瞬間に抱きつかれてびっくりしちゃったな。あははっ、」
俺の近くで立ち止まるチワワ男子は笑い、「びっくりしてつい叫んじゃった」と言い頬を淡く染める。
「俺もあまりに似すぎててついクセで抱きついちゃった!驚かせてごめんね」
保健室を出た俺とノベは寮の自分たちの部屋に向かっていた。先に俺の部屋に着いた時、ノベとぐちぐちと言い合っていると、声に気がついたのかチワワ男子が部屋から出てきたのだ。
そして俺はチワワ男子の顔を見た瞬間、ある人物と似すぎてて堪らず抱きついてしまった。
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