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君のため




 楽しそうに笑う男子校生の声。今時の流行曲がかかる室内。

 宵人に言った通り俺は当日、多分友人であろう数人とカラオケに来ていた。
歌いはしないものの、一応周りに合わせて笑い、会話に入る。...表面上で。

 頭の中を占めているのは宵人の存在だった。
そして、恋人である叶江、という男のこと。

 宵人が俺に恋人の名を教えてくれたのは、つい最近のことだった。
 
 “恵 叶江(メグミ カナエ)”そいつは宵人が言うには俺と同じ高校らしかった。そして同い年。

 恵は俺の高校で有名らしいが周りに興味がない俺からすればその男は全く見知らぬ存在だった。

 ― 恵、宵人の恋人はどんな男だろう。

 俺の学校は編入試験は難しいが一般受験の試験ならばそこまでレベルは高くない...といってもそれは俺の感覚での話しなので、他から見たらどうなのだろう。

 「なぁ、ここに入るためにどれだけ勉強した、」

 「なっ!!愛都!俺はもう死に物狂いで勉強した!この学校、姉妹校の普通科と違って金だしても入学させてくんねぇからな。なのにレベル高いし!」
 

 隣に座っていた名もわからぬ友人?に問えば苦し気に、しかし熱くそう語った。

 ...訂正しよう、受験のレベルは高いらしい。

 ということは、その恵とやらも頭が良いということか。俺が予想するにそいつはきっと
好青年に違いない。

 宵人が絡まれてるのを助けるぐらいの正義感を持ち、頭も良く、一目惚れしてしまうほどの容姿の端麗さ。

 それに宵人が選んだんだ。真面目なやつだろう。

 今度助けてくれた礼も含めて会いに行ってみよう。


 うるさく騒いでいる友人たちを尻目に俺はそんなことを考えていた。



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あきゅろす。
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