君のため 7※ 晴紀の名前も出されたせいか、横目に晴紀を見れば青白くなった姿が目に入った。 やめてやめてやめてっ!!俺のきれいな弥生に変なことを言わないで!汚さないで! 俺の負の部分を弥生が知る必要無いんだっ まさかとは思うが、今この場で千麻があの日のことを言ってしまうのでは、と思うと気が気じゃなかった。 それは青白くなっている晴紀も同じ気持ちだと思う。 「そうだったんだ!...あ、そうだそれより今はそれどころじゃなかったね!今からちょっとトイレに行ってその汚れ少しでも―――」 ――ガンっ!! 突然響く机を強打する音。音の発信源は晴紀でも千麻でもなく.....和史だった。 「弥生から離れろ下衆野郎...」 少しずつ千麻に近づいていき胸倉を掴んで弥生から引き離す。 演技かどうかはわからないが、千麻は眉をひそめ苦しげに息をもらした。 「何やってるの和史!!乱暴にするな!」 すぐに弥生はそんな和史を止めに入ろうとするが、漸く動きだした晴紀に抱きつかれるようにして動きを止められる。 「弥生、落ち着いてっ」 「晴紀離してくれ、それに落ち着くのは和史の方だ。相手は何もしてないのに...っ」 弥生は晴紀を身体から離そうとするが、晴紀もべったりとくっついてしまっていて中々離れない。 俺は何もできないままその光景を眺めていた。 恐怖と嫌悪が俺の中を交互にせめぎ合い、冷や汗が頬をつたう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |