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君のため
偽りの仮面



 「そろそろ行くか」



 4時限目の終わりを告げるチャイムの音を聞き、食堂に行こうとけだるい体を起こして立ち上がる。

 

 綾西が去った後、授業を受けにわざわざ教室に戻るのも面倒だったのでそのまま俺は空き教室で過ごしていた。



 クッと身体を伸ばせば大きな欠伸が出る。
あぁ、だるい...だが、出だしが肝心だから気合いを入れなければ。


 食堂にはただ昼を食べに行くわけではない。
ちゃんとした目的もある。


 それはあいつらと顔合わせをすること。そして、未だ写真でしか見たことのない沙原 弥生とも会っておかなくては。

 ...といっても、沙原 弥生とは運良く同室になったから今、会わなくても今日中には会うことになるのだが。


 あいつ...叶江も食堂にいるのだろうか。
綾西、永妻、香月の3人は多分大好きな沙原とともにいるだろうと予測できるが...。

 そもそも叶江は誰かと一緒に行動なんかするのだろうか。
 あの、人を人として見ていないような目をしたあいつが。


 そういえば、結局俺は最後の叶江の言葉通り、皮肉にもあいつと再び顔を合わせることになった。

 叶江は全てを分かっていたんだ。...宵人のことも。
 それなのにあいつは見殺しにした。きっと計画的に起こされた事実。



 許さない、あいつは殺してやる。生きる価値なんてないんだ。


 頭の中が憎しみで一色になる。



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