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君のため




 乱暴に閉められる扉。
 酷く同様していた表情。きっと今まで誰にも触れられてこなかったのだろう。

 あいつは愛に飢えている。人の好意に囲まれていないとすぐに不安になってしまう。
 俺の中ではすでにわかりきってしまっている事実。


 ああいう奴ほど何か突きつけられたらすぐに脆くも崩れてしまうものだ。


 完璧だと思っているから自分の仮面をつけ続ける綾西。


 「どれくらいそれがもつかな」


 綾西が出ていた方を見て笑う。
今のお前の唯一の光、沙原 弥生に見捨てられたら、一体お前はどうなってしまうのだろうか。



 大切なものをなくし、屈辱を味あわされる苦痛。それを与えられる記念すべき1人目はお前だ、綾西 泰地。


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