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君のため



 「あっ、おい、引っ張んな!...っう」

 腕を引っ張られ強い力に抗うこともできずに近くにあったベッドへと押し倒される。

 「やっぱりヤるつもりなんじゃねぇかよっ」

 「何度も言わせんな。ヤんねぇよ」

 とはいいながらも俺の両手を掴んで自由を奪う叶江は、空いた方の手で俺が穿いていたジーンズを脱がしてきた。

 これといいた抵抗もできない俺はあっさりとジーンズも下着共々脱がされてしまう。

 ヒヤリとした空気が下半身を覆いビクリと震えた。


 「あははっウケる、めっちゃ萎えてんの。」

 「...っ」

 そして何も身にまとわない俺のを見た叶江に笑われ、羞恥で顔が熱くなる。

 「まぁ、これで勃ってたらそれはそれで面白かったけどな」

 「クソが...っ」

 「顔真っ赤でそんなこと言われてもなぁ...あ、おい部屋の電気このリモコンで消えるんだろ?」

 「...さぁな」

 「生意気、」

 叶江のその一言と同時に当たりは暗闇に包まれる。

 掴まれていた手首は離され自由になる。

しかし今度は後ろから抱きつかれて体の自由が利かなくなってしまう。

 「このっ、抱きつくな!あっちに行けっ、てか、なんでお前上半身裸なんだよっ!」


 背中から腰にかけてまで伝わる、奴の体温が妙に生々しくて気持悪かった。

 「黙れ。...人肌に触れたい気分なんだよ。」
 
 「...なんだよ...それ、」

 急にどこかさびしげな口調になる叶江に、何故だか俺は強く言い返すことができずそれっきり押し黙ってしまう。 

 「お前は一生俺のモノだ。...お前だけは、俺から離れることを許さない」

 「、そんなの...しらねぇよ。俺には、関係ない...ぅあっ」

 耳元で囁かれるように...しかし絶対的なその言葉に、俺は小さな声で返答するが首の裏を舐められそれも中断される。

 「お前は俺の犬だ。これから何があろうと俺はこのことを変えるつもりはない」

 そういった叶江はそこから何をするでもなく静かな寝息を立て、眠りへと入っていってしまった。


 「誰が、一生お前の隣にいてなんかやるか、」

 だからこの俺の言葉はきっとあいつには届いていない。


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あきゅろす。
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