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君のため
5※永妻晴紀視点



 「また、弥生と学校で一緒に過ごせるなんて幸せだなぁ。最近2人でゆっくりすることもできなかったから...」

 「そうだね、何だか前に戻ったみたい。愛都君も最近学校に来ないし。部屋にこもりっぱなしなんだ...学校やめちゃうのかなぁ」

 「そうなんだ。でも、大丈夫だよ。千麻がいなくても、僕が弥生の傍にいるから」

 俯く弥生。しかしそれも暫くすればなおるだろう。なんたって僕と一緒にいるんだから。
 永妻は先日送られてきた“愛都の写真”を思い出しほくそ笑む。乱れた服や髪の毛。精液の付いた体。尻の穴で太く、濡れた男のそれを銜え込んでいた。

 あの愛都を丸め込んだ。いい気味だと思った。どうせ今頃ベッドの上で病んでるか学校を去る準備でもしているのだろう。中々立ち去らなかったり反抗してくればすぐに千麻兄弟の動画や写真をネットや学校にばら撒けばいい。そこに自分は一切写っていないからばれることもない。ましてや2人を犯してまで僕に忠誠を誓うあいつらが裏切ることもないのだ。

 「ねぇ、晴紀。今日の放課後、用事ある?もしも何もなかったら僕の部屋に来てほしいな。最近寂しいんだ。愛都君は部屋から出てこないし、連絡も取れない。僕、折角愛都君と付き合うことができて幸せだったのに...。今はもうよくわからないんだ。愛都君のことが全く掴めない。だから今日だけでもいいから、一緒にいてくれる人が欲しいんだ」

 ギュッと握られる手。白く透き通ったその手は肌触りも良く、まるで作り物の様であった。
 大きな瞳に見詰められ永妻はまるで吸い込まれるような感覚を味わった。

 愛都がいなくなってからというもの、こうして平穏で幸せな日々が訪れ始めた。
 和史も泰地もいない今、弥生の隣に居るのはこの自分だけであり、そんな弥生を理解することができるのも自分だけだと自負していた。

 「当たり前じゃないか。僕はすべての用事を投げ出してでも、弥生を1番に優先するよ」

 そう言い永妻が笑えば沙原も嬉しそうに微笑んだ。


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あきゅろす。
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