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森の中の花
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 「それにしても、本当やばかったよな」

 ざわつく教室内。そんな中ある生徒が1人ボソリと呟いた。

 「おい、声が大きいって」

 「あぁ、悪い。まだ日も経ってないし不謹慎か」

 「まぁ、でも不気味だったのは間違い無い」

 その言葉とともに2人の生徒の視線はある2席に向けられる。
 その机の上にはうっすらとだが埃が被っていた。理由は1つ、触れることを皆が怖がって掃除の時でさえ下げずにそのままにしているからだ。
 暗黙の了解で担任の教師もそれに関しては何も触れてはこなかった。

 「あいつも元々変わってはいたけど、頭打ってからは気持ち悪い通り越して怖かったな」
 
 「あー、退院してからのあいつだろ。花崎の机に花瓶置いてあるの見て激怒って...受け入れられなかったのかなぁ―――― 自分のせいで花崎が死んじまったってことが」

 「本当な、皆花崎のこと好きだったし俺たちで弔ってやろうって花置いてたのに。まさかあんな風にキレられるとは思いもしなかったよな」

 「唯一の友達で幼馴染みだったからな。それでも異常過ぎて余計に誰も話しかけれなくなったのも事実」

 「流石にあれはないもんな」

 「「森末の一人芝居」」

 ハモった2人は目を合わせて苦笑した。
 それは退院後の森末の異常な行動の一つだった。まるでそこに花崎がいるかのように1人で話をするその姿は恐怖以外の何ものでもなかった。
 クラスメイト全員がその振る舞いを気味悪がるのはいうまでもない。

 しかし、それ以上に恐ろしいことが起こるとは誰も思いもしなかった。

 「でも花崎と同じく階段で落ちて死んだってマジで洒落にならない」

 「しかも場所も同じだったって話」

 2人の顔は恐怖で引き攣る。

 「あいつ、見えてたのかな。花崎のこと」

 「さぁな。それは知らないけど...まぁ、花崎も死に切れないよな。どんな時でも花崎だけが森末の味方だったから...。誰も森末のこと庇わないから余計に花崎も過保護になっていったし」
 
 「花崎もいつも森末の話してたもんな。俺がそばにいてやらないと、って」

 その言葉を皮切りに2人の間に沈黙が広がる。
 その会話を聞いていたのだろうか、いつの間にかあんなにざわついていた教室内は静寂に包まれていた。

 そしてその時全員の心に浮かんだのは罪悪感であった。


 end.



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あきゅろす。
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