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最後に笑うのは、
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 「ぅ、うくっ...ぁ、ん゛んっ、」

 「しめつけ...すごいじゃん。結構時間たつのに、全然緩んでないよ?」

 何度か中出しされ、突きいれられるたびに精子が泡立ち、水音をたてて尻を汚していく。
 しかしその間、穂波は一度もイっておらず、律動のたびに萎えた性器が空しく上下に揺れていた。
 それでも少しは慣れてきたのか、それに対する痛みはなくなっていた。あるのは内臓がせり上がってくるような気持ち悪さだけ。...―― そうだったのだが、

 「んっ、ん、ぁ...あぅッ、あッ、!!」

 突然全身に電流が走ったかのような快感が訪れた。

 「ん?なに...ここ?」

 「あっあ、ぅ...ゃ、やめっ、あ゛あっ...ふッ、」

 ― 前立腺に触れたということは自分のこの声の変わりようで分かった。
 そんな穂波の反応が面白かったのか、ぐいぐいと先端である一点を連続的に突いてきた。

 「ひっ、ひな、た...ぁっ、いやだ...そこ、やめっ、」

 自分自身の声とは思えない高い声音に思わず鳥肌が立った。だがそんな穂波の反応とは逆に、日向は穂波の中にあるそれは脈打たせ、大きくさせた。

 「お前でも、そんな声...だせるんだ」

 そう言い、日向は笑うと、今まで一度も触れていなかった穂波の性器に手を伸ばし、握りこんできた。
 それによって一瞬固まる体。仰向けの状態で腰が浮かされているせいで、自然と、握りこまれる自身のものに目がいく。

 「こんな...女みたいな声出してさ...ここ、勃ってきてる。なぁ、中...犯されてお前感じてんだ」

 「いや、だ...やめろ...ッ!!ぁっ、あ゛あっ、んっ...やめッ、」

 そして慣れた動きでその手は穂波のものを上下に扱き、親指は一番敏感な先端の穴を引っ掻いては押しつぶし、中を軽く抉る。
 元々、日向と穂波との間では“抜きっこ”という行為自体はしていたため、日向は穂波の弱い部分を熟知していた。

 そのせいもあり、あっという間に穂波は高みまで上り詰めさせられる。

 そうして、それに比例して日向も限界が近いのか、激しく腰を打ち付けてきた。
 前立腺を抉るように、日向の熱く固い性器で擦られ、痛いほどに自身の性器を上下に扱かれ...

 「ぅあ、あ゛あっ、ん、ん、い...イク...ッ、ぁっ、ん゛ん...ッ!!」

 ついに穂波は腰をビクつかせ、精液を迸らせた。それらは自身の腹や頬を白く汚す。

 「...くっ、ぅ...ぁっ、」

 その時、後ろの締めつけがきつくなり、ほぼ同時に日向は穂波の中、奥深くに熱いものを打ち付けた。

 はぁはぁ、と荒くなった2人の息遣いが部屋の中で繰り返される。

 「...んで...なんで、二葉を抱いたんだよ...っ、」

 ぽたり、と頬に落ちてくるもの。重たい瞼をゆっくりと開ければ、日向の顔が顔にうつる。

 「どうして、二葉を...っ、」

 視界はかすんでいて、日向の表情はよく見えなかった。だが、ポタリ、ポタリと止まることなく頬に落ちてくるそれで、今日向はどんな顔をしているのか、なんとなくわかった。

 「そんなに、二葉が大事かよ...」

 その問いに日向が答えることはない。しかし、もし肯定したものが返されても自分自身、それに堪えられる自身はなかった。

 ― 大丈夫...日向は肯定してない。まだ、間に合うかもしれない。
 たとえ、同性愛者だと差別され嫌われても...それでも、日向を二葉から離すことが...

 そんな淡い希望が今の穂波の小さな支えだった。



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