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最後に笑うのは、
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 「あれ?二葉は...」

 相変わらず暑い夏の真昼間。いつものように行った日向のマンション。
 しかしチャイムを鳴らす穂波を出迎えたのは日向ただ一人だった。

 「二葉はお盆だから墓参りに帰った。今日は帰って来ないってよ。」

 「ふーん。墓参りね、」

 そう聞き、母さんも“近々行くよ”と言ってたことを思い出す。

 「せっかく来たんだから上がってけよ」

 「え...ぁ、うん」

 久し振りに日向と2人きりという状態に心が歓喜する。最後に2人きりだった時の記憶はいいものとはいえないものだったが、不思議と恐怖はなかった。
 だから、ゆっくりと歩く日向の歩調に合わせて穂波も靴を脱ぎ居間へと歩いていった。


 「なん、で...っ、」

 だがそんな気分も一変。


 『ぁ、あぅ...ッ、ほな、み...ッ、穂波、すごい...きもち、ぃっ、』


 『おく...っ、奥まで...ひっ、ぁ、あッ...ん゛んっ、』


 居間に響くのは二葉の喘ぎ声。

 テレビの画面いっぱいにうつるのは服を身につけることもなく、重なり合い、乱れる2つの姿。

 「あ...あ゛ぁ、そん、な...」

 肩に背負っていた鞄が滑り落ち、中身が床に散らばる。次に足の力が抜けた穂波は崩れ落ちるようにして床にへたり込んだ。
 穂波は目を逸らすことなくテレビの画面を一心に見つめる。写し出されている情事はいつのものなのかは、分からなかった。
それほど同じ場所で、同じような会話を聞かされて、決まった体位で犯すことを毎回強要されたから。

 「最近、どうも2人の様子...ってか、穂波の様子がおかしかったからさ、部屋にビデオ置いてみたんだ」

 「そしたら、こんなものが撮れた」日向は声を出して笑う。穂波はそれに対して狂気を感じた。

 「まさかとは思ってたけど、本当にヤってたなんてね。...よく人の家でできるよなぁ、こんなこと。もしかして2人は付き合ってたの?男同士で、」

 「ち、ちがっ...日向、あれは...―――― 」

 「いつからだよ!!これも初めてじゃないんだろ!?」

 「ッ、...な、夏休みの序盤だ...日向がバイトで昼間いないときは毎回...でも、日向、俺は二葉とは付き合ってない!!これだって二葉に強要されたもので―――― 」

 「...あぁ、そう。そうか。...いいわけはいい。よくわかったよ。お前のことが、」

 「付き合ってない人間と平気で何回も人の家でセックスしておいて、強要されたなんて言い訳するようなホモ野郎だって。」日向は侮蔑を込めた瞳で穂波を睨み、蔑んできた。

 そんな言葉を突きつけられ、穂波は口を閉ざしてしまう。
 “ホモ野郎”軽蔑するようなそんな言葉が何よりも胸に響き、喪失感に襲われる。
嫌われないよう全て隠していたのに。二葉を追い出してまた日向と笑い会える日が訪れることを願っていたのに。

 ― どう、しよう...どうしよう、どうしようどうしようどうしようどうしよう

 頭が真っ白になり、何も考えられない。
 焦点が合わず、今自分が何を見ているのかもわからない。

 「ひな...ひなた...ッ、お願...嫌わない、で」

 口を戦慄かせながらも穂波は悲痛な声を上げる。目の前に立つ日向に縋るような目を向けた。

 「可哀相な二葉。何回も何回も穂波に犯されて」

 「ひっ、な...何すん、」

 肩を強く蹴られ、押し倒される。

 「大丈夫。ビデオはちゃんと回してるよ?だから安心して。後でじっくり見せてあげるから」

 「い、いやだ...っ、やめ...―――ぅぐっ!!ぁ...」

 抵抗し、叫べば日向の拳が頬に振り下ろされた。口内は切れたのか、僅かに鉄の味が広がる。

 「最低なホモ野郎にはちゃんと二葉の気持もわからせなきゃなぁ」

 そう言った日向は悲しそうに顔を歪めさせた。だがそれも一瞬のこと。すぐに日向はまたいつものように冷めた眼差しを穂波に向け、衣服に手を掛けてきた。

 久し振りの日向の体温。嬉しいはずのそれも状況が状況なだけに恐怖を感じてしまった。
 同じような体格のため、殴るなり蹴るなりして全力で抵抗すれば日向から逃げることはできた。

 しかし、日向に暴力を振るう、という行為がどうしてもできず結局穂波は日向にされるがままになっていた。
 それでも口を開き、拒絶の声などを叫ぶがその都度穂波は脇腹や鳩尾など急所を殴られ、息を詰まらせた。
 そうして服を全て脱がされた時、ついに穂波は声も出さず抵抗もしないでただただ日向の行動に堪えることしかできなくなってしまっていた。



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あきゅろす。
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