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最後に笑うのは、
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 「久し振りに2人きりだねー!」

 今日もいつも通りの時間に日向のマンションにやって来た穂波を迎えたのは、にこやかに笑う、二葉ただ1人だった。
 日向は昼間から夕方までバイトらしく、部屋には穂波と二葉の2人きり。

 「穂波、穂波ーっ、」

 「...っ、触るな。さっさと問題集を出せ」

 ローテーブルの前に座る穂波に二葉は思い切り抱きつき、首元の匂いを嗅ぐ。
 しかしすぐに穂波によって強制的に離され、遠慮のない嫌悪を向けられる。それでも二葉は気にする様子もなく、再び穂波に抱きついた。

 「いい加減にしろ!早く準備を...」

 「 もう終わったよ 」

 「...は?」

 「だーかーらー、もう終わったの!今日勉強する分!」

 「...そ、それなら俺は帰る。」

 背筋がゾクリとし、穂波は慌てて立ち上がる。
 鞄を持ち、一歩前へ踏み出す足。...だが、次のの一歩は二葉に掴まれたせいで踏み出すことができなかった。

 「何で帰るの?」

 「どうして僕と一緒にいてくれないの?」

 「今来たばかりでしょ?」

 「まだ帰る時間じゃない。それなのに、どうして?」

 「どうしてどうしてどうしてどうしてどうして、」



 「 日向さんがいないから? 」



 連続的に紡がれる言葉。そして最後の問いに穂波はハッとし、息をのむ。

 「違う...別に日向は関係、――――」

 「嘘つかないで。僕知ってるよ。穂波が日向さんのこと、特別な目で見てるんだって」

 「...っ、」

 それ以上、穂波は抗うことができなくなってしまった。
 穂波自身、分かっていたからだ。二葉が異様に日向に懐くのは穂波の気持ちに気がついているからだと。

 「ねぇ、穂波気がついてる?僕が日向さんと仲良くしてる時...穂波はずーっと、僕のことを見つめてるんだよ。すごく、熱い目でね...」



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