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リクエスト小説




 「今度は一緒に鍋でもしようよ」

 そう言い、笑顔で僕を見送るユキト君を僕は重たい前髪越しに見つめる。

 閉まる扉。僕は髪を引かれる思いに駆られたが大人しく隣の自分の部屋へと戻っていった。
 日中も常にカーテンが閉め切られているせいで暗い部屋。そのせいか、パソコンの電源をつければやけに画面の光が明るく見えた。
 そしてヘッドフォンをつけて椅子に腰をかければ準備OK。

 僕は食い入るように画面を見つめた。

 「ユキト、君...だ、大丈夫だよ...僕が君を、守ってあげてるんだから...」

 大画面いっぱいに広がるのは、先程藤峰が使っていた皿やコップなどの後片付けをするユキトの姿。
 カチャカチャとなる皿の音や流水音はヘッドフォンから頭の中へと入ってくる。

 「僕の精子がついた...プレゼント、喜んで...くれなかったな...―― 量が、足りなかったかな?」

 カチカチとマウスをクリックし、画面を2つに分ける。もう一方は今のユキトの様子が映し出されているもの。そしてもう一方は...

 「今日は、これでたくさん僕の精子をだしてあげるね、」


 『...ん゛ん...ッ、ぐっ...ぁっ、はっ、ああぁッ、』


 「後ろの穴つかって...1人えっちなんて...ユキト君は本当、淫乱だなぁ、」

 前に撮っていたユキトの自慰時のものを見てすぐに藤峰の股間は熱くなる。
 固くなりつつある性器を手早くズボンから出し、画面を見、ヘッドフォンからの喘ぎ声を聞きながらそれを愛撫する。

 「あぁ、早く僕ので...突いてあげたい、」

 壁を覆い尽くすほどに貼ってあるのは、ユキトの写真や、ユキトの1人えっちの時のものを拡大してポスター大に伸ばしたものばかり。床にはたくさんの書きかけの手紙が散らばっていた。

 ― こんな僕に優しくしてくれたユキト君、きれいなユキト君、僕に笑いかけてくれるユキト君...

 「僕の愛を...全部受け取ってよ、」

 手に絡みつく白い液体。

 藤峰の顔にはいつもは見られない、恍惚とした表情が浮かんでいた。


 ――


 ――――


 ――――――


 ―――――――――


 「 あぁ、危ない危ない 」


 小さく呟き、手に取るのは先程藤峰が見つめていた大量の写真の束。

 ユキトはそれを一枚一枚見ては、机に置いていく。そして数枚置いたところで、その手は止まった。


 「これは、藤君のカメラに映らないようにしなきゃ...」


 その言葉は小さな小さな声で紡がれる。それは藤峰が自分の部屋につけた隠しカメラでは捉えることのできない声音。


 ニヒルに笑う、視線の先にあるのは...――― 藤峰を盗撮した写真。


 大量にあった写真の被写体は数枚を除いて、あとは全て藤峰だった。


 ― 僕の乱れる姿を見て、君はどう興奮するのかな?


 そして妄想に走るユキトの性器は、ズボンを押し上げるほど、熱く昂っていた。


end.


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