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リクエスト小説




 「わーるいんだ、わるいんだ。せーんせいに言ってやろう」

 そう、小さな時に言っていた言葉を3人に向けてなげかける。


 叶江の存在により、教室内は一気に張りつめた空気になった。
 興奮しているのか昂ったものでズボンを押し上げている2人は叶江の姿をみて焦ったように口元をヒクつかせた。

 「...あ、恵...これは、あの...」

 「俺たちは、ただ...」

 「ただ、何?」

 そう問うが、2人は口を閉じ沈黙する。学内でも悪評も含めて有名な叶江の笑顔の脅しに2人の顔は青ざめていく。
 すでにその2人の視界には、愛都の姿はうつっておらず、叶江のみが意識も含めて独占していた。

 そんな2人に叶江は微笑する。

 「まぁ、安心してよ、冗談だからさ。でも...早くどっかに行ってくれないと気が変わっちゃうかも。」

 そう言えば、慌てた様子で2人は立ち上がり、うなだれながら早足でこの場から去っていった。
 その様子を見て、自分の悪評も役に立つものだな、と改めて考えさせられる。

 「めっずらしいじゃん。愛都が襲われるなんて...って、ぅわっ!」

 出ていく2人の後姿を見て笑い、愛都の方を見た瞬間、突然突っ込むようにして叶江の体に愛都は抱きついてきた。それに驚きながらも、優しく頭を撫でてやれば、先程よりも強く愛都は叶江に抱きついてきた。

 「本当、らしくないなぁ」

 「...叶江、」

 素肌が露わになった上半身は微かに震えており、叶江は何も言わずに愛都のことを抱きしめた。
 そうすれば、ふっと愛都は震えるのを止め、上目遣いでこちらを見てきた。

 「叶江...怖かった...怖かったんだ...」

 ついには安心しきったのか、瞳からはポロポロと涙が流れ落ちる。
 いつになく感情がさらけ出されているその姿に叶江は保護欲をかきたてられた。

 「愛都...」

 そして顔を近づけ、2人の唇と唇の距離はついに0距離に...――――


 ―――


 ―――――


 ―――――――――


 「...い...ろ...おい、起きろクソ野郎」


 「...んー、」

 「さっさと起きろ。時間がないんだ。...あぁ、あったあった。叶江、カードキー借りてくから」

 突然耳元で大声を出されたかと思えば、次の瞬間には悪態をつく愛都にズボンのポケットをまさぐられ、マスターキーであるカードキーを持っていかれてしまう。

 「よく屋上の固い床で熟睡なんかできるな。本当、ぶっとい神経」

 蔑んだ目をした愛都はそれだけ吐き捨てると、そのまま屋上から去っていった。


 「まぁ、これはこれでいい目覚めだ。」


 そして叶江は愛都にまさぐられたズボンのポケットに手を入れ、笑んだ。



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あきゅろす。
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