リクエスト小説
1
それは突然のことだった。
「や...っ、やめ、啓吾!!」
「...っ、るさい、だまれッ、」
手足をバタつかせて暴れる那智を啓吾は後ろから羽交い締めにし、押し倒して自由を奪う。
そして那智が床に倒された衝撃で、痛めた体に顔を歪めた時、啓吾は近くにあった布で那智の目を覆い頭の後ろできつく縛った。
目の前は暗闇に包まれ、体の自由も利かないこの状況に那智は必然的に恐怖を覚え、カタカタと体を震わせた。
大の男がこんなことくらいで情けない、と自分の中に悔しさが生まれる。しかし、そう考えても依然と恐怖を拭うことはできず、ただただ下唇を強く噛みしめた。
思い出されるのはつい数分前の出来事。那智は他愛のないことで啓吾と口論になっていた。
いつもなら何だかんだ言って、最初に頭を下げてくる啓吾が今回はなぜか怒りを抑えようとはせず、爆発させた。
だが、自分の発言の何に啓吾がここまで反応したのかは分からない。
さすがにここまできてしまっては、自分から謝った方が得策だ、と那智は抵抗をやめ、息を深く吸い込む。
「ごめん、悪かった。俺が悪かったよ。お前が俺の言ったことの何に怒ってんのかはわかんねぇけど...俺、よっぽどイラつくこと言ったん...――― 」
「あぁ、そう。わかんないか...俺が何に対して怒ってんのか、」
那智が言い終わる間もなく、その口は手で塞がられ耳元で啓吾の低音の、少し掠れた声が囁かれる。
そしてその瞬間、穿いていたスウェットを下着ごと足首まで引き下げられた。
「...ッ!!」
「はっ、ここ縮こまってる。」
ヒヤリ、と冷えた空気が下半身を覆い、恐怖で萎えて縮んでしまっている性器を握りこまれる。
顔を背けて、啓吾の手から逃れると、すぐに那智は触るな、と拒絶の声を向けるが当の本人はそんなことには耳を貸すつもりがないのか、ゆるゆると上下にそれを擦り始めた。
ゾクゾクとした快感は訪れる。しかし、恐怖が勝っているのかいくら啓吾がそこを弄っても性器は反応せず、萎えたままだった。
那智の口からは悲鳴染みた声がこぼれ、一向に反応しないそれに啓吾は舌打ちをし、性器から手を離した。
次に後ろで纏められていた両手も解放され、漸く正気に戻ったのだろうか、と那智は僅かに開いた口から安堵の息を吐き出す。
「え...ッ、ちょ、啓吾っ!?」
しかし、そんな自由もわずか数秒。不意を突いて力の抜けた両手首を背中の上で纏めて縛りあげられた。
下半身丸だしで腰だけを高く抱えあげられ、那智は羞恥で頬を赤く染めた。
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