リクエスト小説
3
「...っ、ん゛っ、ん゛ん―――― っ!!」
突如訪れた激しい痛みに、俺は飛び起きるようにして目を覚ました。
上がった悲鳴は何かで口元を塞がられているせいで、くぐもったものになる。
部屋の中は薄暗く、何が起こっているのか状況がつかめない。
しかし、それも一瞬のこと。すぐに訪れる下半身への律動と、荒い息遣いで今、自分が何をされているのかがわかった。
「んっ、ん、ん゛ん、ぅ...っ、」
熱く、固い昂りは、慣らされていない穴の中を抉るようにして奥へ突き進んでは、ギリギリまで引き抜かれ、そして再び挿入される。
そのあまりの痛さに目に涙を浮かべ叫び声を上げるが、その声は口が塞がられているせいで押しこまれてしまう。
「あぁ、血だ。お前の淫乱な血だ。」
「ふっ、ぅ...う゛ん、ん゛ぐっ...っ、」
頬に塗りつけられるぬめった液体はきっと、愛都の下半身から流れ出たもの。
愛都はそれに堪らず肩をビクつかせた。
そして同時にその声によって目の前にいる人物が誰なのかが分かり、目を細める。
「せっかく優しくしてやったのに。ちょっと調子に乗りすぎだな、お前も」
「ぅあっ、痛っ...ぁあ゛あっ、ぁ、ん゛ん...ぅ、ん...っ、」
俺の口を塞いでいた手が離れたと思えば、今度は熱い唇で塞がれた。
口腔の中にぬめり、と入ってきた舌は歯列や上顎をなぞり、そして奥に逃げ込んでいた愛都の舌を吸い上げると甘噛みし、味わうようにして弄る。
唾液が溢れ、口の端を伝って垂れていく。何度も何度も向きを変えて口腔を犯され、快感で力が入り眉間にしわが寄る。
だが、相変わらず下半身には律動に合わせて鋭い痛みが走り、快感と苦痛の間を行き来した。
何も考えることができず、痛みを紛らわせるかのように...些細な抵抗として叶江の肩に、背に、手を伸ばし、ギリ、と強く爪を立てる。
そうすれば爪の中に肉が食い込むリアルな感触がした。
その瞬間、叶江の舌の動きが止まり、俺は心の中で“ざまぁみろ”と叶江に向かって貶しの言葉を向ける。
「はっ、まだまだだ。もっと...もっと消えないほどの痕を俺に残せ」
鋭い眼光を叶江に向けるが、当の本人はそれに笑み、そして再び愛都の唇を貪り始めた。
―
――
―――
すぐそばで眠りに就く、男の下半身は白濁と赤い血で汚れている。
そして俺の背中はその男によって傷つけられ、血が流れていた。だが、それに対して苦痛はなく高揚感ばかりが湧きあがる。
「やっぱり、優しさなんかじゃ...お前は俺を見ようとしない」
行為の最中に向けられた、俺だけを見つめる鋭い眼差し。
― それは俺を見ていた
― 俺だけ、を
自然と上がる口角は下がることなく、叶江は目を細めて笑みを浮かべた。
end.
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