リクエスト小説 11 「真崎...あぁ、やっぱり幸せだな。これから毎日真崎と一緒に過ごすことができる。弟君には悪いけど、真崎を独占するのは俺だから弟君には寂しい生活をしてもらわなきゃ」 チュッと、俺の頬にキスをおとした佐竹は幸せそうに微笑む。 あれから佐竹の住むマンションに連れて行かれ、暴力といっていいほど激しい性行為を強要された。 手はひもできつく縛られ、ベッドにつなげられた。 途中、行為の荒々しさにどんなに喚こうが、抵抗しようが佐竹は躊躇することなく俺を犯しつくす。 痛みと快感で失神した俺を構いもせずに佐竹は犯し続けたせいで、毎回俺はその律動で意識を現実へと引き戻された。 「せめて卒業してから軟禁しようと思ってたけど...あんな姿見たら我慢できなくなっちゃった」 つい先程まで行われていた性行為で体力を消耗し、体はピクリとも動かない。 ベッドの中で佐竹に抱きしめられてはしつこくキスマークをつけられる。 まるで、自分のものだ。と印をつけていくかのように。 「あっ、真崎お腹空いてない?なんか俺持ってくるね」 たいして空いていなかったが、わざわざ断るということも億劫に感じ、短い礼を言うと俺は枕に突っ伏した。 そんな俺の耳にキスをし、佐竹は部屋から出ていった。 今はひもで手を縛られてはいないが、“今のうちに逃げよう”という考えは俺の中に湧かなかった。 ここにいれば弟は普通に生活を送ることができる。監禁されてるわけじゃないから、たまには弟の顔を見るために家に帰ることだって許されている。...もちろん、佐竹も同行して、だが。 それにここにいることによってあのストーカーとも会わなくて済むんだ。 ストーカーにも弟のことについて脅されていたが、そのことも佐竹がどうにかする、と言ってくれた。 佐竹が相手で、あのストーカーもどうなるか。下手をすれば...―― ニュースで話題になるような惨いことをされるかもしれない。 ― けど、そんなこと俺には関係ない。 今、俺ができることは...しなければいけないことは、ここで佐竹と暮らし、佐竹の思うままに行動すること。 佐竹は両親とは折り合いが悪く一緒にすごしていないと言っていたが... 「真崎、お待たせ」 そんなことを考えていれば、扉が開けられ軽食を持った佐竹が中に入る。 「あぁ、ありが...――― ッ!!」 佐竹に礼を言おうと目線を上に向けた俺は目を見開き、固まってしまった。 反動で息も詰まり、口をわななかせる。 「今、ちょうど帰ってきたから紹介しようと思って。ほら、これから一緒に住むんだしさ」 目を細め笑む佐竹は隣に立つ人物の肩に手をおく。 バチリ、と合う視線。俺の顔には自然と歪んだ笑みが浮かぶ。 「こんにちは。弟の...――― ユズルです。これからよろしくお願いしますね」 そこに立つのは学ラン姿で微笑む見慣れた顔。 俺を精神の限界まで追いつめるには十分の条件がそろい、ついに俺は壊れたように笑った。 「 もう無理だ。逃がして...俺に皆と同じ日常をくれよ、」 そしてそこで初めて俺は自分の歪んだ日常を恨んだ。 end. [*前へ][次へ#] [戻る] |