リクエスト小説 10 勝手に合い鍵を作られていた、というのにも驚いたが、それよりも俺は今の現状に焦り、そして恐怖した。背筋を冷たい汗が流れ、ひどい手汗を掻く。 「で、これはどういうこと?」 一歩一歩ゆっくりと俺に近づいてくる佐竹。 乱雑に、持っていた俺の鞄と自分の鞄を放り投げ、目の前にしゃがみ込む。 「この精子は真崎のもの?それとも別の誰かの?」 「こ、これは...ぅあっ、んぅ、」 「ここもすごいほぐれてる」 唐突に尻を掴み、佐竹はわり開くと無遠慮に指を突っ込んでくる。 先程までの余韻もあったせいで俺の口からは嬌声が零れ、ハッとした俺は口を噤む。 「そして、これ。これはどうやったら1人でつけられるの?さっきまではなかったよね」 「...ぁ、佐竹...っ、」 続いて穴から指を出した佐竹は俺の首を撫でるように触る。 「熱烈な痕だね。こーんな濃いキスマークなんてつけてさ」 そうしてニコリ、と口角を上げ笑った佐竹。だが、目は冷めたままで笑ってなどいなかった。 俺の心臓はありえないほど速く脈打ち、呼吸が乱れていく。 「真崎は悪い子だなー。...悪い子にはしっかりと躾をしなきゃね」 「ち、違うんだ...っ!これは、」 「俺の家に行こう?そこで全部話を聞くから、」 「え...」 「分かってると思うけど、俺の家に来たら1人で外には出してあげないよ?外に出るときは俺とずっと一緒。じゃないと真崎は今みたいに悪いことしちゃうから」 「そん、な...っ。佐竹、いくらなんでもそれは...」 「五月蠅い。黙って来ないと...――― 弟のこと、壊しちゃうよ」 「...、」 聞き覚えのあるセリフに俺は再び言葉を詰まらせた。 なんでこうも続けて弟を引き合いに出されなければ... しかし、それが俺の唯一の弱みであるということに変わりはなかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |