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リクエスト小説




 「兄ちゃん弁当忘れてる!せっかくユズルが昨日用意してってくれたんだから、忘れちゃダメだろ」

 「悪いな。それじゃあ」

 「はいはーい。いってらっしゃい」

 玄関で雄汰から弁当を受け取り、早足で外に出る。
 家から離れてる所に学校がある俺とは違い、すぐ近くに学校がある雄汰は未だに寝癖をつけたままの、寝ぼけた顔で俺を見送った。

 ほぼ毎日、ユズルによって作られる弁当のおかげで俺の食生活は素晴らしいものになっていた。


 ―


 ――


 ―――


 「 まずい。やっぱりこんな弁当食べるのやめなよ」

 昼休み、弁当をつまみ食いした佐竹は眉をひそめ、きちんと噛むことなくそれを飲み込む。

 「真崎、よくこんなまずいの食べれるね」

 「...はぁ。佐竹、この弁当はさっきも言ったが弟の彼女がわざわざ作ってくれたものなんだ。それをそんな風に悪く言わないでくれ」

 いつもは佐竹の言葉にイラつくことなどなかったのだが、この発言は無視することができなかった。それに弁当だってまずくなんてない。
普通に美味かった。

 だから軽い苛立ちを感じた俺は今、初めて佐竹に対して反抗した。

 「...は?」

 「いくら佐竹でも、言っていいことと悪いことがあるだろう?」

 そして再び弁当を食べようと思い、箸を手に持つが佐竹に手首を掴まれ落としてしまう。

 「何、もしかして真崎その彼女このこと庇って...俺のこと怒ってるの?」

 「庇うも何も俺は ――― っ、おい、佐竹!?」

 突然掴まれた手首を引っ張られ地べたに倒される。

 「...っ、」

 反射的に伸びた俺の手は覆い被さってきた佐竹の胸を強く押した。
 当然のことながら不意を受けた佐竹は俺の上からどかされ尻もちをつく。

 「佐竹...」

 自然と生まれてしまった佐竹との距離。そして異様な雰囲気に包まれる。
 すぐに起き上がり近づくが佐竹はぶつぶつと何か呟いているばかりで俺の声に全く反応しない。

 「悪かった佐竹...なぁ、」

 「...る...ない。...お..の...もの、だ」

 「...?何言って、...ぅぐっ、!!ふ...は、あ゛っ、」

 「許さない。真崎は俺のものなんだ」

 バッと顔を上げた佐竹は再び俺を押し倒し両手で首をきつく締めあげてきた。

 強い締めつけに気道が塞がれ、ギチと肉の音が鳴る。


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あきゅろす。
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