リクエスト小説
3
「あっ、こんにちは。真崎さん」
「ゆずるちゃん、遊びに来てたんだ」
放課後、家に帰れば弟である雄汰(ユウタ)の彼女、ゆずると鉢合わせした。
黒い長髪の彼女はニコリと笑み、お辞儀をすると雄汰の部屋へと入っていく。
小さい顔に大きな瞳。いつもニコニコとしている彼女はとても女の子らしく可愛かった。
父さんの転勤に母さんもついていったため、弟と2人きりの生活をしている中、ちょくちょくゆずるは家に来ては料理や掃除をしてくれていた。
― 本当、雄汰はいい彼女をもったものだ。
付き合い始めたのはつい最近らしいが、とても雄汰に尽くしていて、雄汰もゆずるにはベタ惚れしている。
そんな2人の関係は羨ましいと思うが、佐竹に彼女は作るなと言われている手前、俺には程遠いことだと冷めた目でも2人のことを見てしまっている。
“俺、彼女作らないから真崎も作らないでね。あと、俺以外の人を好きになるのもダメ”
そう何度も俺に言い聞かせる佐竹。俺がその言葉に頷けばいつも嬉しそうに笑んでいた。
「ねぇ、兄ちゃん宛てにこれ届いてたよ。送り主は書いてないけど、」
居間でテレビを見ていればゆずるを見送ってきた雄汰に1通の手紙を渡される。
「あぁ、手紙な」
見慣れたそれを一瞥し、受け取れば「じゃあ、俺さきに風呂入ってくるから、」と渡して満足したのか雄汰は居間を出ていく。
そして雄汰の背中を見送り、再び1人になった俺は手紙の封を開け中に目を通した。
「また同じやつか」
中に入っているのは数枚の写真と1枚の便箋。内容はいつも通り反応に困るものだった。
“今日もすごくかっこいい” “最近は朝いつも乗ってるのより1本遅いバスだね”
最初の文面はこのように俺の行動などが書かれている。しかし段々と内容はエスカレートして...
“夢の中で君と抱き合ったんだ。だから夢精しちゃった” “君がいたバスの席に座ったら君のぬくもりが残ってるんだ。僕はそれだけで勃起したよ”
など、少々内容が危うくなってくる。しかも文面を見て分かるようにこの手紙の送り主は男だ。
写真も俺を隠し撮りしたものと多分、送り主のであろう勃起したものの写真やイってすぐなのか白濁で汚れた屹立の写真も添えられている。
それに加え、隠し撮りの写真はよく見ればふやけた部分があり、微かに青臭いにおいがした。
「何とも熱烈なものだな」
僅かな嫌悪を感じるが、しかし特に俺はこれを重く受け止めずゴミ箱に捨てると再びテレビに目を向けた。
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