リクエスト小説
5
「ほら、あいつにもお前は俺のものなんだってことを教えてやらなきゃな」
そう言って叶江は死んでいるのか生きているのかもわからない男の目の前で散々に俺を責めたてる。
嫌がれば殴られたせいで体中にうっ血の痕が散らばっていた。
叶江は俺の血とやつの精液で濡れた穴を荒々しく、自らの欲望のためだけに掻きまわす。
当然のことながら快感など生まれず、揺さぶられるたびに虚しく上下に揺れる俺のそれは萎えたままだった。
目を開ければ腰を高く抱えあげられて赤い筋を流すそこが見え、いたたまれなくなった俺は視線を逸らす。
「う゛っ、う゛、ぐっ...あ、あ゛ぁっ、」
口から出るのは嗚咽の声と悲鳴染みた声。そんな状況でも叶江は満足気に俺の体に口づけては痕を残していく。
殴られた頭部が、叶江に責めたてられるたびに床に擦れズキズキと痛む。
まともな思考なんてできるはずもなく、視界は涙でかすむ。
「逃がしてなんかやらない。次、俺の目の前から消えようとしたら、その時は一緒に死んでお前の自由を奪って永遠に俺の手の中に閉じ込めてやる。」
クッと軽く絞められる首。今、殺されないとわかっていても過去のトラウマ...叶江に監禁されていたことを思い出し「ヒッ、」と俺の口からは情けない声が出た。
「今も死んでからもずっとお前は俺から逃げることなんてできない。分からないなら分からせてやる、じっくりとな。あの時のように、」
ガタガタと震える体。
溢れるように流れ出る涙は悔しさからくるものか。それとも目の前の男に与えられる絶望からくるものか。
何が原因なのか考えていたくなくて。
現実を見ていたくなくて。
全てを拒絶するかのようにして瞼を閉じれば、熱い舌でとめどなく流れる涙を舐めとられた。
「お前は俺のものだ。なぁ、そうだろう?」
耳元で囁かれる声。
トラウマによって恐怖の闇へと堕ちた俺は虚ろな瞳を叶江に向ける。
そして肯定するかのように....
近づく叶江の唇に、貪りつくようにして口づけた。
end.
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