リクエスト小説
2
「は?...どうなってんだ、」
呼び出された場所についた俺はまず、唖然とした。
...なぜならそこには何かで殴られたのか気絶している男子生徒3人の姿があったからだ。
予想外の展開に俺は頭を悩ませた。
― 一体誰がどんな目的で...
あたりは静まっていて、自分と倒れているこいつら以外に人気はない。
きっとこいつらを殴った奴はすでにここにはいないだろう。
案の定、ガラリと開いた窓から外をのぞけば雨でぬかるんだ地面に残る足跡が見えた。
それは長く、奥の方まで続いている。
「あぁ、これじゃあ発散できないな」
床に寝そべるようにして伸びている奴らの顔と学年、クラスを確認してため息をする。
― 誰だか知らないが余計なまねをしてくれたものだ。
落胆する気持を抑え、とりあえず窓を閉めるために雨音のするそこへと足を向けた。
― ドカッ!!
「ぅぐっ!!」
突然脇腹に走る痛み。僅かに顔を向け確認できたのは自分の脇腹に食い込むようにしてあたる木製のバットの先端。
横からの打撃に体はよろけ、バランスを崩す。
「千麻君...千麻君千麻君千麻君」
ドロで汚れた靴。前身は雨でずぶ濡れの男が1人、こちらを見てにたりと笑っていた。
「いつの間に...っ、」
「やっと2人きりだ。あぁ、逃げちゃダメだよ。」
入口の方に目を向けた瞬間、目の前の男は阻止するかのようにバットを俺に向かって振り下ろした。
それに対し脇腹が痛むもののなんとか俺は横に向かいかわす。
「うーん、残念。」
「...あんたがやったのか、」
「うん、そうだよ。だってこいつら僕の望みを邪魔しようとしてきたんだ。わざわざ僕の後を追っかけてきてさ。だから殴った。
そしたらタイミング良く人の足音が聞こえたから窓から逃げだけど...もしかしたらと思って、戻ってきて正解だったな。」
入口の方は足跡を残すようにして落ちている泥で所々汚れていた。
窓から逃げておいてわざわざ外を回って中に入ってきたか...
特に特徴もなく、普通の男子高生に見える目の前の男。相手が気絶するほど殴るような奴には見えなった。
「そこまでして叶えたかったあんたの望みって、何?」
気を逸らしているうちに綾西に連絡をしようとこっそりと携帯の入っているポケットへと伸びる手。
「僕の望みは千麻君と一緒に死ぬことだよ!」
明るい口調のそれに思わず俺は携帯のボタンを押す手を止めてしまった。
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