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リクエスト小説




 「あ、金魚...」


 たえさんに手を引かれながら歩いていると、ふと平たい透明の箱いっぱいにいる金魚が目に写った。


 ――すごく、きれい。


 お母さんはきれいな魚が好きだった。だからよくお父さんとお母さん、そしてぼくと 3人でたくさんのきれいなお魚がいる場所に連れて行ってもらっていた。


 「....」


 そのことを思い出し、僕は少しまたさびしくなった。


 ―なんだろう。なんでこんなにさびしくなるんだろう。せっかくたえさんとまなとと3人でお祭りに来たのに...


 だけどさびしさはなくならなくて、なんだか胸が痛くなってきた。

 
 「金魚すくいかぁ...」


 「...え?」


 「たえさん!おれ、最後に金魚すくいやりたい!」


 そういうとまなとはたえさんの手を引っ張って金魚すくいのお店へと連れていく。
 そしてぼくもたえさんの手をつないでいたからそのままいっしょに引っ張られて...


 「あらあら、愛都坊ちゃんすごいやる気ですね」


 「うん!!」


 まなとは店のおじさんから金魚をすくうための道具と入れ物をもらうとその前にしゃがみ、狙いをさだめ始めた。


 ―どうして急に金魚すくいなんてやりたがったんだろう。...まさかぼくが“金魚”なんてつぶやいたから?...そんなわけないか。

 マナとの隣に行ってぼくは金魚とまなとを交互に見、そして最後にまなとの方を見た。


 「おし!頑張るぞーっ、」


 腕まくりをし、まなとは気合いが入ったのかいつになく真剣な顔をしていた。



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あきゅろす。
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