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協和音




 胸の突起に白い指を這わせ、摘まんでは押しつぶしてくる。


 「んんっ...くっ、」


 「気持ちいい?渉...可愛いね、可愛い...」


 上体を下げ、兄貴は首元や鎖骨そして胸元へとキスをし、舐めては痕をつけていく。

 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い...っ。


 ――このキチガイ野郎っ


 細身ながらも筋肉がついた俺の身体に触れ、兄貴は興奮していたのか徐々に手つきが荒くなってきた。
 華奢でもなく別段白い肌というわけでもない男≠フ俺の身体。

 そんな体を可愛い可愛いと言いながら触れてくるこいつの脳内を理解することができない。


 「あははっ、渉のここ、すごいことになってるよ。そんなに僕に触られて感じちゃったんだね」


 「うぁ...触ん、なぁっ」


 「でもきつくない?あ、もしかして前触らないで後ろだけでイきたいの?あぁ、渉、お前は淫乱だね。だけど大丈夫、恥ずかしがらないで。僕はそんな渉のことも愛しているから」


 「ひっ、ぁ...あっ、」


 兄貴は俺の上からどき、足の間に入ると主張しズボンを押し上げていたそこを布越しにシゴいてきた。

 せっかく上半身が自由になったというのに、この刺激によって俺は身動きできなくなってしまう。
 感じたくなくても快感に素直な身体はちょっとした刺激にもビクついてしまう。

 生理的現象だとわかっていても悔しくてしょうがなかった。


 慣れた手つきで俺のベルトをはずし、下着と一緒にズボンを脱がす兄貴。
 ためらいもせずに尻の穴に舌を入れ、舐めては指を入れ、ほぐしてきた。

 そして数分と経たずに兄貴は自分の昂ったそれを出すと、今さっきまで舐めていた、たいしてほぐれてもいない穴の縁にピタリとくっつけ、ゆっくりと挿れてきた。


 もう半ば諦めた俺はそれを虚ろな目で眺めていた。もう何度もされてきたこの行為。
 初めのうちは最後まで抵抗してはいたが、回を重ねるごとに俺はわかったのだ。
 この流れになってしまえば――兄貴から逃れることは、できないのだと。

 実際、押し倒された時点でもう結果は見えているのだ。


 ―だが、今回はいつもと違った。


 「ただいま〜」


 ―それは扉越しに聞こえた、高い声。


 「あれ、歩兄さんと渉兄さんの靴がある」


 ―今の状況を、最も知られたくない...大切な人間の声。


 「あ...ひよ、り...っ」


 俺は一瞬視界が真っ暗になった。
 

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あきゅろす。
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