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君のことだけ考えてた。



 ことの状況についていけず、頭の中が真っ白になる。
いつも笑っていて俺がどんなひどいことを言っても、怒ったりせずただひたすらに堪え
謝りさえしてくるシイナの初めて見た怒りの感情。


 「イズモは不器用なだけ。だから言いたくないような言葉も言ってしまう...そんなイズモの性格はわかっているつもりだった。
でも...それでも今回のは...堪えられない」


 「...っ」


 俺の肩口に顔をうずめ、今にも泣いてしまいそうな震えた声を出すシイナにつられて
俺も心が震え、涙が出そうになる。


 「イズモのこと...理解してると思ってた俺は、間違いだったのかな。イズモ...本当は俺のこと嫌いだったの?」


 「...そん、な...俺は...んんっ!ちょ、シイナ!?」


 弱々しい声を出していたはずのシイナは、急に空いている方の手で俺の服の中を弄ってきた。

 シイナの指が俺の胸のそこを掠め、微かに俺は口から息をもらす。
 慌てる俺を無視してシイナはそこを俺が女でもないのに触ってはきつく摘まみ、押しつぶしたりした。


 「や...めろよ、シイナっ、くっ...んん、」


 快感とも呼びにくいもどかしい感覚に顔を横へ逸らせば、無防備な首をきつく吸われ俺は無意識にシイナの肩を掴んだ。


 無言のまま俺を行動で攻め立てるシイナにわずかに恐怖を感じるが、好きな相手に触られどこか昂る感情も生まれる。


 「あぁっ、やっ...ま、まって...っ」


 いつの間にか緩まっているベルトに開けられるズボンのチャック。

 躊躇なく下着の中にシイナの手が入り、俺のものを掴まれゆるゆると擦られる。
 一気に快感が押し寄せ、俺は耐えるかのように目をつぶる。


 抵抗しようと俺のものを擦るシイナの手を掴むが、力が入らずただ添えるだけのものへとなってしまう。


 「シ、イナ...っ、ぅ、あっ...んんっ」


 なぜシイナがこんなことをしてくるかが分からない。
 俺がどんなにシイナの名前を呼んでもシイナは何も答えてくれない。


 快感と高揚感、そして恐怖が俺の中をぐるぐると回っていた。



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