君のことだけ考えてた。
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しかしすぐに次に発したシイナの言葉によって高まった感情は急降下する。
「すぐイズモのところに行こうとしたんだけど、ちょっと色々あって行けなくて...」
「...色々」
あえて後輩といたことを隠すシイナに俺は苛立ちを感じた。
「色々って?」
「あ、っと、先生に呼ばれてさ」
そんなことでイラつく自分がガキなのはわかってる。
だけどそれでも、シイナがそのことを俺に隠すことがすごく嫌だった。
まさか、付き合ってるの?俺に内緒で付き合ってた?
「嘘つき」
「イズ、モ?」
「なんで隠すの。後輩の女といたこと、なんで俺に隠そうとするんだよ」
「...気づいてたのか。特に意味はないけど...ただ、」
「ただ何、お気に入りの子だから俺に見せたくなかった?それとも、もしかして付き合ってるのか?」
冷たい表情で冷やかすようにそう言えばシイナはとても悲しそうな顔をした。
その表情に胸が痛み、俺は一体何を言っているんだ、と自分を責めるが言葉はいつものように止まることはなく吐きだされる。
不安な思いがシイナを攻め立てるかのように表れる。
「そうなんだろ。まぁ、今までできなかった方がおかしいんだ。
てか、俺が知らないだけでお前は何人もの色んな女と遊び歩いてたかもしれないけどな」
「...っ」
強く拳を握るシイナは隣に座る俺の方には目も向けず、耐えるかのように俯いていた。
またシイナを傷つけてしまっている。シイナを困らせてしまっている。
...言いたくない。もう、何も言いたくない。
「本当は俺のことも面倒臭くなってたんじゃない?段々と俺に対して冷たい態度とかとるようになってさ。あぁ、分かった。これを機にお前とはもう離れ―――うっ...く...」
言いたくもないことを話続けていると、途端に暗転する俺の視界。
肩に軽い痛みが走り、俺は小さく呻く。
「それは...本気で言ってるの?」
目の前にあるシイナの悲しそうな、しかし、強い怒りを込めた顔。俺の左肩を掴む手。
「シイ...ナ、」
気づけば俺はソファに押し倒されていた。
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