[通常モード] [URL送信]

Dark
起死回生


「……お前は逃げたらいいんじゃね…?」


「貴方がいないこの世になんか居たくない。
花も月も風も水も、貴方が居なきゃ意味が無いじゃない。」



「じゃあ、一緒に死のうか?」




よく有る話。
俺等が、ではなくて仮想のだけれど。


よくある心中とは、
きっと二人でずっと居たい約束の儀式でしかないんだ。

天も地も二人でいたいと願ったんだろう。



まぁ、そこまで強く想い合った出来事は俺らには無かったし、

しかも天には行けそうもない所業ばかり重ねた二人でしかないし。

お前は俺を強く愛していたんだろうけど
俺は逃げてばっかりで。



こんな二人で死のうなんて可笑しいだろう。


つじつまが合わないだろう。


だからそれに気付いて早く逃げて、生きていけ。


お前は変態だし、ドMだし、ド近眼だし、ストーカーだけど、真っ直ぐで、一生懸命で、素直で、健気で、美人だから

こんな天パのダメ侍よりイイ奴見付けて幸福になればいい。




イイ女なんだからさ、さっちゃんは。

俺みたいな爛れた男、
今更こんな台詞吐く男、
早く気付いて見限って捨てていけばいいんじゃない。




「……あなたが行く処、どこへでも…
私はあなたがいないと駄目だもの、銀さん」




優しく、泣きながらそんな事言わせてしまった。




それじゃあ、アレ。

目印も無いような、空気に混じってしまいそうな形も捕らえがたいであろう魂だけよりも、

在る個体であって判りやすい躯付きで生きていかないと、どうしようもねぇじゃねーか、チクショーめ。


お前を死なせる訳にはいかないじゃないか。

俺に着いて来るならば、俺は生きないといけないだろうが。




何が二人で天も地もだよ。


ふざけんじゃないよ、コラ。

好きな女にはしわしわになっても笑って貰わなきゃ浮かばれないだろ。


どんな意地も、張って。
どんな痛みも、背負って。

どんなになったって守るのが、愛なんじゃあねぇのかよ。



美談なんか、クソ喰らえ。

悲恋なんか、クソ喰らえ。




「……しゃーねーな、まだ生きようか。
一緒に死ぬにはイベントが足りねぇよ、オイ」




つじつまが合う日まで、
躯ごと、魂ごと、全部愛し合う時間が重なって、
約束を交わせるだけの間柄になんないと、




まだまだ閻魔様には会えそうにねぇな、さっちゃん。









銀さんピンチに遭遇したさっちゃん。

小ネタ色つけ程度で説明不足ですが、仕様だと言い聞かせつつアップ。
SSSレベル…

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!