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- Distance -
(7)

 これまでは毎回それを抑えてきた。
 男の側としても、自分で扱くより相手にしてもらった方が良いはずである。
 実際には主人は自分で扱くことの方が少ないので、これで満足していたということも考えられるが。
 もし、ユエが処女でなかったなら、我慢することは出来なかったかもしれない。
 セックスの快楽を知っている者と、知らない者とでは多少なりとも差があるだろう。

 「ご主人様、ユエはもう……」

 だが、このときは限界に来ていた。
 三ヶ月振りの再会が、異常なまでに興奮を高めていた。
 目の前のものをくわえ、下で舐め、存分に愛撫したい。
 やったことも見たこともないが、どうすればよいのかは分かる。
 そして、止めどなく愛液を溢れ出している部分に迎え入れたい。
 つまるところ、この躰をすべて捧げたいのだ。
 しかし、幸か不幸か主人はその限界を取り違えた。
 ユエが絶頂に達すると思ったのだ。

 「ああ、俺ももう……出そうだ」

 その言葉でユエのスイッチが切り替わった。
 反射的に顔を上げて、うっすらと目を閉じる。
 両手で胸を寄せるようにしながら、掌を上に向け、精を受け止める格好をした。
 何年も繰り返してきた、「精液便所」としての性だった。

 「……出すぞ!」

 主人の手の動きが更に速度と強さを増す。

 「きて、いっぱい出して!」

 その言葉に促されるように、主人の腰が宙に向かって突き上げられた。

 「くぅっ……!」

 ……ドクン!

 ペニスの先端から勢いよく白濁液が噴出した。

 ……びしゃっ!

 極太の白い筋がユエの顔を打つ。

 ……びゅっ、びゅっ!

 続けて発射される大量の精液が見る見るうちにユエの顔を白く染めていく。
 部屋中に生臭い匂いが充満する。
 小さく開いた唇に流れるものを舌ですくい取ると、口の中にも懐かしい匂いが広がった。

 「うっ、くぅっ!」

 なおも射精は続く。
 顔だけでなく、首筋や胸にも太い筋が増えていく。
 白い液はその筋の上にさらに降り注ぎ、全体をくまなくどろどろに汚していった。
 まるで三ヶ月間溜め込んでいたかのような量だ。

 「出して……もっと、もっと」

 精液を浴びると、ユエの中の快感も一気に高まっていった。
 恍惚とした表情で口を開き、舌を伸ばして、主人の体内から発射されたものを、自分の体内へと迎え入れる。

 「ああ、凄い……いっぱい」

 ユエが両手では受け止めきれないほどの精の量を、下を向いて確認すると、その髪やヘッドドレスにまでも白濁液は降り注いだ。


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