- Distance -
(5)
<br> 「さて、そろそろ夕食の支度が出来たと呼びに来るな。その前に……」
主人がズボンのベルトに手を掛けた。
「向こうでも女には不自由しなかったが、屋敷が近づくにつれてお前の顔が思い浮かぶと……」
ズボンと下履きを一緒にずり下げると、逞しいペニスが現れた。
「そら、もうこんなになってしまっている」
性豪の伯爵夫人を失神させたそれは、すでにめいいっぱい怒張し天を睨んでいる。
「……嬉しゅうございます」
他に言葉が思い付かなかった。
触れることの出来ない自分に対してここまで高ぶってくれるのは、嬉しいような申し訳ないような気分である。
そして、自分は単なる性奴で、しかも何の奉仕もできない、不完全なものであることを思い知らされるのであった。
しかし、それでも屹立した愛しいものを間近で見、匂いを嗅ぐと、躰は自然に火照ってくる。
一度火が点くと、すぐに成熟した全身が受け入れ態勢をとる。
いやもっと前から、土産話を聞いている最中、あるいは声を聞いたその時から、股間は潤いを帯びていた。
ユエは自分のいやらしさに呆れ、また、それだけ主人のことを想っているのだと納得させながら、次の一言を待った。
「ユエ、久しぶりに見せてくれ」
三ヶ月振りに求められた。
「はい、このような卑しい躰でよければ、存分にご覧下さい……」
ユエは跪いたままエプロンドレスの肩掛けから袖を抜くと、黒いブラウスのボタンを外した。
胸の谷間が見える。
ブラウスの下には何も着けていない。
ボタンをすべて外し、ぐい、と横に開くと、豊満な胸が露(あら)わになった。
日頃から下着は何も着けていないのに、張りのある形の良い胸だ。
すでに興奮して固くなった乳首が、つん、と上を向いている。
始めは隠すように手を胸に当てるが、やがて、ゆっくりとそれを揉みしだきだした。
小さく開いた口から出る吐息が少しずつ荒くなっていく。
掌で乳房を揉みながら、その中心にある突起を指で弄(いじ)る。
それだけでは物足りないのか、胸を持ち上げると乳首を口に含んだ。
「ん、ふぅ……」
唾液をたっぷり付け舐め上げ、そして吸い上げる。
「はぁ……あぁ」
荒くなった息にあえぎが混ざりだした。
本当は恥ずかしいのに、一度始めると止まらなくなる。
いやらしい躰だ……。
それが、蛮族だからなのかはユエには分からない。
貴族のセックスも、平民のセックスも見たことがないからだ。
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