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<br> 「さて、そろそろ夕食の支度が出来たと呼びに来るな。その前に……」

 主人がズボンのベルトに手を掛けた。

 「向こうでも女には不自由しなかったが、屋敷が近づくにつれてお前の顔が思い浮かぶと……」

 ズボンと下履きを一緒にずり下げると、逞しいペニスが現れた。

 「そら、もうこんなになってしまっている」

 性豪の伯爵夫人を失神させたそれは、すでにめいいっぱい怒張し天を睨んでいる。

 「……嬉しゅうございます」

 他に言葉が思い付かなかった。
 触れることの出来ない自分に対してここまで高ぶってくれるのは、嬉しいような申し訳ないような気分である。
 そして、自分は単なる性奴で、しかも何の奉仕もできない、不完全なものであることを思い知らされるのであった。
 しかし、それでも屹立した愛しいものを間近で見、匂いを嗅ぐと、躰は自然に火照ってくる。
 一度火が点くと、すぐに成熟した全身が受け入れ態勢をとる。
 いやもっと前から、土産話を聞いている最中、あるいは声を聞いたその時から、股間は潤いを帯びていた。
 ユエは自分のいやらしさに呆れ、また、それだけ主人のことを想っているのだと納得させながら、次の一言を待った。

 「ユエ、久しぶりに見せてくれ」

 三ヶ月振りに求められた。

 「はい、このような卑しい躰でよければ、存分にご覧下さい……」

 ユエは跪いたままエプロンドレスの肩掛けから袖を抜くと、黒いブラウスのボタンを外した。 
 胸の谷間が見える。
 ブラウスの下には何も着けていない。
 ボタンをすべて外し、ぐい、と横に開くと、豊満な胸が露(あら)わになった。
 日頃から下着は何も着けていないのに、張りのある形の良い胸だ。
 すでに興奮して固くなった乳首が、つん、と上を向いている。
 始めは隠すように手を胸に当てるが、やがて、ゆっくりとそれを揉みしだきだした。
 小さく開いた口から出る吐息が少しずつ荒くなっていく。
 掌で乳房を揉みながら、その中心にある突起を指で弄(いじ)る。
 それだけでは物足りないのか、胸を持ち上げると乳首を口に含んだ。

 「ん、ふぅ……」

 唾液をたっぷり付け舐め上げ、そして吸い上げる。

 「はぁ……あぁ」

 荒くなった息にあえぎが混ざりだした。
 本当は恥ずかしいのに、一度始めると止まらなくなる。

 いやらしい躰だ……。

 それが、蛮族だからなのかはユエには分からない。
 貴族のセックスも、平民のセックスも見たことがないからだ。


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