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†Resurrection†
前編


 ――どこかで自分の名前を呼ぶ声がする――

 それは、耳から入ってくるのではなく、直接頭の中に響くような声だった。
 綿瀬久魅(わたせ くみ)はその声の主を探した。
 視界は真っ白だった。
 空も大地も無くただ真っ白。
 あたりを見まわしても自分以外の物体はなにひとつなく、距離感も麻痺している。
 まるで白い闇の中にいるようだった。
 夢を見ているという自覚はある。
 本来の彼女の肉体は、自室のベッドに横たわっているはずだ。
 ふと、視界の隅に小さくなにかが映った。
 少し遠いが人のようだ。
 さっきまではだれもいなかったのに。
 声の主だろうか。
 彼女はとりあえずそこへ行ってみることにした。



 地面も真っ白だと歩こうにも躰のバランスを保つのが難しい。
 しかし、すぐにその労力は必要なくなった。
 彼女はいつの間にか目的地にいた。
 ここでは距離など無意味なのだろうか。
 その人物はまるで十字架に架けられているように空中で両手を広げてうなだれていた。
 手首と足首には枷のようなものが嵌(は)められていた。
 浅黒い肌の女だった。
 セミショートの黒髪がうねっていた。
 躰にはわずかに布が巻きついているがほとんど全裸に近かった。

「あたしを呼んでいたのは、あなたなの?」

 久魅は下から顔をのぞき込んだ。
 その声に反応して、女の瞼がゆっくりと開いた。

「……永かったぞ」

 女は俯(うつむ)いたままぼそりとつぶやいた。

「さあ、まずはこれを鎮めてくれ」

 女は少し顔を上げて久魅を見た。
 その黒い瞳と視線を合わせると、久魅の背中に電気が走った。
 突然の衝撃に驚いて思わず女の足もとに膝を着く。
 ちょうど同時に女にかかっていた布が落ちて、その全身が露わになった。
 大きく張りのある胸、細くくびれた腰。
 見事なプロポーションだったが、一つだけ異様なのは、股間から生えた巨大な男根だった。
 それが久魅の目の前にニョッキリとそそり立っていた。
 表皮はこれ以上ないくらいパンパンに張りつめ、てらてらと光る亀頭の先端からは、透明な液体がとうとうとあふれ出ていた。

「これは……」

 久魅は絶句した。
 しかし、恐怖心や嫌悪感というものは湧いてこなかった。
 むしろ、目の前の威容を見ると、肉欲的なものが急速に込みあげてきた。

「さあ……」

 女(であるらしき人物)に促された。
 なにを要求されているのかはわかっている。
 久魅は目の前の熱を放っているモノに手を伸ばした。

 ……にゅる。

 それの下側はとめどなくあふれ出ている透明な液体でぬめっていた。

「熱い……」

 それに触れ、さすってみると、久魅自身の欲望も一気に高まっていくようだった。

「ああ……久しぶりの感触だ」

 女は顔を仰け反らせた。

「もっと……もっと強く、激しくしてくれ」

 久魅は言われるがまま手に力を込め、巨大なそれを激しくしごきあげた。
 透明な液はどんどんあふれ、久魅の肘を伝って真っ白な地面に溜まっていく。
 それと同調するように久魅の股間も潤いを帯び、かつてないほどに蜜を滴らせていた。
 彼女はたまらず自らの股間に空いているほうの手を伸ばした。
 いつの間にか全裸だった。
 いや、はじめからそうだったのかもしれない。
 細い指はなんの抵抗も受けることなく目的地へたどり着くことができた。

 ……にちゅ。

 久魅が襞を掻き分け指を差し入れると淫猥な音が響いた。
 手のひらにトロトロと液が流れてくる。
 「ああ」と声が漏れた。

(どうしてだろう……こんなに感じてるなんて)

「さあ、もっと……」

 頭上で女の声がした。

「もっとして……」

 久魅の中からの欲求も高まる。

(どうせ、夢なんだし……)

 彼女は思い切って大きく口を開けると、手に握ったそれの先端をくわえ込んだ。

「ああっ、そうだ……いいぞ」

 女が呻くと、同時に久魅の頭の上でバチンッと硬いものが弾けるような音がした。
 女を見えない十字架に張り付けていた手枷が片方外れていた。
 女は自由になったほうの手を、口の端を吊り上げて満足気に眺めた。
 その手で頭を掴まれたので、久魅にも女が片腕を使えるようになったことがわかった。
 しかし、そのとき、女の唇の隙間からまるで牙のように発達した犬歯がちらりと見えたことまではわかるはずもなかった。
 久魅の愛撫では物足りないというように女は腰を前後に振った。

「うっ……ううっ」

 久魅は目をきつく閉じ口の両端からだらだらと涎を流した。
 これほど巨大なモノは、これまで二十四年の人生で体験したことがなかった。
 女もまた、微笑むように開いた口の端から涎を垂れ流していた。

「ああ……やはり数十年、いや数百年ぶりだからか……こんなに早く昇りつめるなんてはじめてだ」

 女は久魅の頭を掴む手に力を込めた。

「……イクぞ、受け止めろ!」

 腰の動きをさらに速めたかと思うと、つづいて一気に打ち込んだ。

「うぐぅっ!」

 久魅は巨大なモノを喉の奥まで突き入れられ吐きそうになった。
 しかし、込み上げてくるものよりも先に肉茎の先端から大量の粘液が噴き出した。

 ……ドグッ、ドグッ、ビュルッ。

 女は腰を震わせながら何度も打ち込んでくる。
 その度に噴火が起こり久魅の口内に生臭い液体が注ぎ込まれた。

「うーっ、ウム、うぶぅ!」

 たった一度の爆発だけでも、信じられない量であった。
 当然、久魅は処理できず激しくむせた。
 くわえたままの口の端や鼻からも逆流してくる。
 涙がぼろぼろとこぼれ端正な顔はぐしゃぐしゃになった。

「ああ……イイ……数百年ぶりの射精だ」

 女は天を仰いで悦に入っていた。



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あきゅろす。
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